冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
二時間ほどの食事は終始穏やかで、両親は今日会ったときとは別人のようにニコニコしながら七瀬CEOが用意してくれたタクシーで宿泊しているホテルへと帰っていった。
「今日は、ありがとうございました」
両親たちを見送った後、私たちも駐車している車へと乗り込んだ。
これだけ仕事後の貴重な時間を奪ってお世話になり、申し訳なさすぎて現地から自分で帰宅すると申し出たものの、七瀬CEOは私をマンションまで送ると言う。
「今日、プレゼンの後に声をかけなかったら、食事をしたご両親に見合いの説得をされていたんだろうな」
七瀬CEOはそう言ってふっと笑う。
「はい……少し前に、母からこんなメッセージが」
ちょうど信号で停車したところで、スマートフォンの画面を見せる。
薄暗い車内で、七瀬CEOの薄い唇に笑みが浮かぶのを目にした。
「一件落着、だな」
さっき両親を見送った後、すぐに母からメッセージが届いた。
【縁談の件は、先方には事情を話しておくから。七瀬さんには、今日のお礼を伝えておいてね】
いくら断ってもわかってもらえず、じわじわと勝手に話が進められていた縁談も、七瀬CEOのおかげでやっと白紙に戻ろうとしている。
あれだけしつこかった両親が諦めてくれたのだから、やっぱり七瀬CEOの存在は絶大。
交際相手として挨拶をしてくれると言われたときは動揺したし、そんなこと頼めないと思ったけれど、お願いして本当によかった。