冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「七瀬CEOのおかげです」

「そう言ってくれるのは嬉しいが、いつまでその呼び方をやめてくれないんだ?」

「あっ……」


 話の流れを上手く使って、さらりと指摘されて口ごもる。


「すみません、つい」

「ご両親の前でも危なかっただろう」


 いつも通り〝七瀬CEO〟と呼びかけて下の名前に呼び直した。

 気を抜くと危ないのは自分でも自覚していたから、さっき両親たちといる時間は気を張っていた。

 いい加減気を付けないとまた言われてしまう。


「仕事以外の時間は名前で呼ぶように。またいつ親たちと会うことになるかわからないからな」

「そうですね」


 そんな話をしている間に、いつも通勤で歩くご近所の景色が窓の外に見えてくる。


「でも、これでお盆休みも気兼ねなく実家に帰れます」

「今度は、俺とはいつ結婚するんだとせっつかれるかもしれないな」

「それは、うちの両親なら有り得そうですが……うまいこと、ご迷惑にならないようにしますので」


 縁談も何度も窺ってきたくらいだ。

 実際に食事までして、あんな完璧な挨拶をしてもらったら、再婚はいつかいつかと言われ兼ねない。

 裕翔さんに迷惑だけはかけないようにしないと……。

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