冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 夕食後にお風呂に入り、自室のベッドに入ったのは二十三時前。

 横になってSNSの投稿を眺めていると、画面が着信画面に切り替わる。

 裕翔さんからで、思わず上体を起こしていた。


「はい、もしもし」

《こんばんは》


 久しぶりの裕翔さんの声。

 耳ざわりのいい低い声は、通話で聞くとより落ち着いて聞こえる。


「裕翔さん、こんばんは」

《久しぶりの実家は満喫しているか》

「はい、おかげさまで」


 私からの返事に、《そうか》と言った彼がくすっと笑う気配を感じ取る。

 そんな優しい様子に鼓動が高鳴り始めていくのを感じた。


《この間の約束の件で連絡した。明後日、大丈夫そうか》


 明後日、八月十七日 は私の誕生日。

 この間、突然両親が東京に出て来た日、裕翔さんが一緒に会ってくれた日の帰りに訊かれたこと……。


『君の誕生日を祝いたい』

 その話はまだ生きていたようだ。


「はい。明日、帰るので……明後日は大丈夫です」

《わかった。じゃあ、明後日、夕方に迎えにいく。詳細はまた連絡を入れる》

「わかりました」


 裕翔さんは最後に《気をつけて戻るように》と言い、通話を終わらせた。

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