冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「一緒にランチをしただろう。あれは失敗だったと反省していた」
「え、なぜですか?」
一緒にガレットを食べたときのことだ。どこに失敗なんていう部分があったのだろう。まったく見当がつかない。
「もう少し、人目を気にするべきだったと。せっかくの時間が俺の配慮の無さで台無しになってしまった」
「そんな、台無しだなんて! 裕翔さんが注目を浴びてしまうのは立場的に仕方ないことですから、失敗でもなんでもありません。それを言うなら、私がもっとどっしりと構えられれば問題はなかったんです」
あのときはやたら人目を気にしてしまった。
私のそんな様子に、失敗したと思わせてしまったようだ。
裕翔さんはふっと笑う。
「知花は優しいんだな」
「いえ、そんなことは」
「ありがとう。だから今日は、人目を気にせずふたりきりの時間を過ごせるように考えている」
多忙な日々の中でいろいろ考えさせてしまったことを申し訳なく思う気持ちと共に、今日のことを計画してくれていることが嬉しくて心躍る。
人目を気にせずふたりきりで過ごせるところって、どこだろう……?
まったく見当がつかないまま、車に揺られること数十分。
車は港区の高層タワーの地下駐車場に入っていく。外から見上げた感じ、三十階以上はありそうなタワーだ。
地下二階まで降りていき、車は迷うことなく駐車スペースへと停められる。
ふととなりを見ると、裕翔さんが所有する黒い車が停められていた。