冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「誕生日、おめでとう」
顔を合わすなり、開口一番お祝いの言葉をくれる。
嬉しくて照れくさくて、足を止めて「ありがとうございます」と頭を下げていた。
「すみません、お待たせしました」
「今着いたばかりだ、待ってない」
いつものように助手席側へと回り、ドアを開けてくれる。
お礼を言って乗車すると、すぐに運転席のドアが開いた。
「お仕事、だったんですか?」
「ああ、昼過ぎに一件、人と会う約束があったんだ」
私たち社員のように、裕翔さんはお盆休みなどの連休はきっとない。
なにかあれば休日ですら動くことも少なくないのだろう。
「そうでしたか。お忙しいのに、今日はありがとうございます」
「なに言ってんだ。今日は元から約束をしているんだ」
私との約束を大切に思ってくれているような発言に心が揺れる。
素直に嬉しくて、また「ありがとうございます」とお礼を口にする。
私の住まいを出た車は、大通りに出てどこかを目指して走り出す。
誕生日を祝いたいとは言われているけれど、詳細についてはなにも聞いていない。
どこに向かうのか、なにをして過ごすのか。
「この間の失敗を踏まえて、今日はどう過ごすかしっかり考えてきた」
そう言った裕翔さんの様子を窺うと、その顔には笑みを浮かべている。
「え、この間の失敗って……?」
いったい、なんのことを言っているのだろう?
裕翔さんが失敗していることなんてなにもない。