冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 そんな話をしているうちにエレベーターは到着する。

 向かった先は三十七階。途中、少し耳が詰まるような感じがしたのはここまで一気に上昇したからだ。

 裕翔さんが開けてくれている扉を出ると、そこはダークグレーの絨毯が敷き詰められた廊下が広がる。

 ダークブラウンの木目調の壁面と埋め込みの照明が落ち着いた雰囲気の共有内廊下を、裕翔さんの後に続いて進んでいく。

 向かったのは最奥の部屋の前で、指紋認証で木調の扉を解錠した。


「どうぞ」

「ありがとうございます。お邪魔します」


 一歩中に足を踏み入れると、玄関はまた大理石の床が広がる。

 壁は外と同じ木目調と黒っぽい石壁で、デザイン性の高いオシャレな空間だ。

 何十人の来客が来て靴を並べても問題ない広い玄関に驚かされ、入ったすぐのところで立ち尽くす。

 玄関ドアを閉めた裕翔さんに背中をぽんとされて、ハッと振り向いた。


「あ、すみません。広くて呆気に取られてました」


 裕翔さんは「なに言ってるんだ」と笑いながらスリッパを出してくれる。


「上がって」

「はい、お邪魔します」


 玄関から奥に続く廊下の壁面の石壁に触れてみると、凹凸のあるそれは本物の石材のようだ。

 こんな玄関を持つ物件はいったいどんな部屋なのだろう。

 未知の世界を前にワクワクを募らせ、裕翔さんが開いたドアの先に思わず目を見開いた。

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