冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「うわ……」
あまりの衝撃でロクな声が出なかった。
何畳かわからないスペースと、マンションではないと錯覚を起こす高い天井。
でも、向こうには東京の街並みが下に広がっている。
驚くことに、リビングダイニングには階段があり、上のフロアに続いているようだ。ここが三十七階だから、三十八階も居住空間なのかもしれない。
「急に家に連れて来られて、また困らせてしまったか」
立ち尽くす私を横切り、裕翔さんはリビングの奥へと向かっていく。
手にしていたスーツのジャケットをソファの背もたれに放り投げた。
「あ、そうではなくて……すごい住まいに圧倒されてしまって。裕翔さんの住まいにお邪魔することも、緊張はしていましたけど、困ってはないです。ただ、本当にいいのかと気がかりはありました」
困るよりも、逆にいいのだろうかという思いのほうが強い。
住まいというのは完全にプライベートな空間だ。そこに足を踏み入れるというのは特別なことなわけで……。
「どこかで誕生日ディナーをとも考えたけど、それもありきたりだと思ってな」
そう言った裕翔さんが「おいで」と手招きをする。
リビングを奥へと進んでいくと、裕翔さんはそばのローテーブルからなにかを両手で持ち上げた。
「これを」
「え……なんですか?」