二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
「訳は?」

「惺音様はもうすぐ16歳になるお歳。16といえば妖の世界ではもう立派な大人。加えて4月からは高校生と相成りましょう。(わたくし)はこの通り常に惺音様のお側にいることは叶わぬ身。大人の妖、特に惺音様のような神の子には従者を抱えるのが世の常でございます」



手馴れた口調でそう言った蓮麻はあたしのことをじっと見た。



そう…あたしは神様の子。



400年ぶりの稲荷神の子としてこの世に生を受けた。



「その役目、蓮麻じゃダメなの?」



あたしは新しい従者の話にまだ納得がいかず食い下がる。



「何をおっしゃいますか。私はれっきとしたお母上の神使。そちらの務めがございます。惺音様にはこれから神使とも言える従者をつけてもらいたいのです」

「だってあたし人見知りだもん。今更新しい人を供につけるなんて無理」

「わがままをおっしゃらないで下さい」



蓮麻が困ったようにあたしに言う。



あたしは昔から蓮麻を困らせてばかりだ。



だけどそれもつかの間、蓮麻は鼻を高くしてちょっと誇らしげにびっくりすることを言った。



「この蓮麻、惺音様に反対されることを見越し、もうすでに新しい従者となる者を見つけ、この屋敷に連れて来ております」

「はあ!?」



あたしは思わず大声を出す。



それから蓮麻は手を叩いて、「入ってきなさい」と部屋の外に声をかけた。



そこに入ってきたのは――。



「どんだけ待たせるんだよ」

「待ちくたびれちゃったよーん」



2人の、美麗な若い男だった…。



「こら、惺音様の前でもっと弁えて話しなさい」



蓮麻に怒られても気にしない態度の2人。



な、なんなのこいつら…。



ただでさえ人見知りで新しい人なんて嫌なのに、同年代の男…?



何考えてるの蓮麻…。



だけど蓮麻はあたしの考えを見通したみたいに説明しだした。



「これから長い長い人生を一緒にすることになるので、先立たれないよう同年代を選びました。2人とも惺音様と同い年ですよ」
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