神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
数時間後。

用意された「夕食」は、それは豪華なものだった。

これまで俺が、ルーデュニア聖王国で粗食させられていたと、思い込んでしまった使用人達は。

高級な食材を、惜しげもなく使用して、王宮の晩餐会みたいなメニューをたくさん用意してくれた。

王宮で食べさせられた高級料理より、更に高級料理だった。

やはり島国だからか、魚介が多かったな。

ウニとかイクラとか、アワビなんてのもあった。

問題は、俺の馬鹿舌である。

生まれてこの方、そういう高級料理を全然食べつけてないから。

ぶっちゃけ、これが美味しいのか美味しくないのか、よー分からん。

多分、美味しいものなんだろうとは思うけど…。

…某ハンバーガーチェーンの、フライドポテトの方が美味くね?…ってなった。

本当、貧乏舌ですみません。

俺の箸がなかなか進まないのを見て、申し訳なさそうな顔をしているメイドさん達にも、本当に申し訳なかった。




「はー…。疲れた…」

夕食と、それから入浴を終えて。

「こちらが寝室になります」と、案内されたのは、邸宅の四階だった。

このお屋敷は四階建てで、リビングは一階に、浴室は三階に、そして寝室は四階にあった。

一部屋一部屋はもっと小さくて良いから、全部一階にまとめろよ。

寝室には大きな天窓があって、部屋の真ん中に天蓋付きのキングサイズのベッドが置いてあった。

でけーよ、ベッドが。

このベッドなら、どれほど寝相が悪くても、落っこちる心配はなさそうだな。

寝室も凄いが、三階の浴室も凄かった。

王宮の、紫水晶の間のバスルームに負けず劣らず…。いや、新築の分、この家の方が立派だったかも。

何もかもだだっ広くて、何もかもが真新しくて、場違い感が否めなかった。

おまけに、俺が風呂に入ろうとしたら、メイドがついてこようとしたんだぞ。

「お手伝い致します」とか言って。

何の手伝いだよ。要らないっつーの。

自分の背中ぐらい、自分で流せるわ。

大の男が5、6人は一緒に入れるであろう浴槽には、緑色のお湯が並々と入っていた。

ハーブの入浴剤か何かだと思うんだけど。

入浴剤なんて使い慣れてない俺にとっては、「なんか歯磨き粉みたいな匂いだな…」としか思えない。

歯磨き粉臭い入浴を、ようやく終えて。

脱衣場に出ると、またメイドが「お着替えをお手伝い致します」とか言い出して、全力でそれを拒否し。

寝室に逃げ帰ってきて、やっとのこと、今、一息ついてるところ。

…今日一日で、嫌と言うほど理解した。

殿様扱いって、羨ましいと思われがちだけど。

「御殿様も…結構大変なんだな…」

ちやほやされ過ぎんのもしんどいわ。

これまで、いかに気軽な生活をしてきたかと思うと、我ながら呆れ、

「失礼致します。キュレム様」

「ひぇっ!?まだ終わってなかったのか!?」

「…??」

「あ、ごめん…」

完全に、気が緩みきっていたところだっだんもんだから。

寝室にお盆を持って入ってきたのは、メイドではなく。

俺の専属見習い魔導師となった、ブラマンジュちゃんだった。
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