神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「君の…ブラマンジュちゃんの両親も、魔導師なのか?」

「はい。二人共『銀カード』です」

つまり、一般魔導師なんだな。

キルディリア魔王国では、一番数の多い魔導師。

「先祖代々、私の家系は『銀カード』ばかりだったので…。ずっと、一族の中で一人くらいは上級魔導師を輩出したいと、家族の全員がそう思っていました」

「…で、一族の中で初めて、その上級魔導師の登竜門に立ったのが…ブラマンジュちゃんって訳か」

「はい。上級魔導師様の専属見習い魔導師に選んでいただくという、名誉を授かりました」

そりゃ良かったな。

ドヤ顔にもなる訳だ。…自分のみならず、家族の期待を背負っているのだから。

「私の兄も、妹も、見習い魔導師には選ばれませんでした。だから、私にとても期待してくれているんです」

家族みんなの自慢なんだな。それはそれは。

兄と…妹。

「ってことは、ブラマンジュちゃんは3人兄妹なのか」

「はい。あ…いえ」

ん?

「…いえ、そうです。3人兄妹です。兄と、私と、それから妹の3人…」

「…今、ちょっと口籠らなかったか?」

明らかに今、視線を逸らしたよな?

「…すみません。一応、もう一人弟がいて…。本当は4人兄妹だったんですけど…」

と、もごもごしながら言うブラマンジュちゃん。

…やっぱり。そんな複雑な家庭の事情が。

「…ごめん。もしかして、幼い頃に亡くなった、とか…」

「いえ、そうじゃないんです。生きているのか死んでいるのかは、分からないんです」

は?

「とっくに死んでるんじゃないでしょうか?恐らく…。まぁ、私の知ったことではありませんが」

にこっ、と微笑みながら言うブラマンジュちゃん。

…今、この子。

凄く恐ろしいことを言わなかったか?

しかも、微笑みながら。

何?え?サイコパス的な人?

「それよりキュレム様、ハーブティーが冷めてしまいますよ」

いや、今ハーブティーのことなんてどうでも良いから。

「ど…どういうことなんだ?」

「え?ですから、ハーブティーが…」

「ハーブティーの話じゃなくて…!君の弟の話だよ。生きてるか死んでるか分からないって…」

…何?家出でもしたの?

「あぁ…。弟は、もうキルディリアにはいないので」

「え…なんで?何処行ったんだ?」

「さぁ、知りません。国外追放されましたから」

「国外追放…!?」

…何それ?

どうやったら、国外追放なんかされるんだ?

逆島流し?

「…?キュレム様、さっきから何を…」

おかしなことばっかり言ってるんだ、と怪訝そうなブラマンジュちゃん。

おかしなことばっかり言ってるのは、君の方だろ。

「…あ、そうか。キュレム様は、ルーデュニア聖王国のご出身なんですよね。それなら、ご存知ないのも無理もありませんが…」

「…ちょっと、自分にも分かるように説明してくれないか。なんで君の弟は、国外追放に…」

「弟には魔導適性がなかったんです。それだけです」

…それだけ。

それだけの理由で、君の弟は、生まれ故郷を追い出されたのか?
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