神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
『HOME』。アーリヤット皇国の、ナツキ様の親衛隊。
マシュリ君や、ネクロマンサーの子が所属していた…魔導師と非魔導師混成の、皇王直属軍。
彼らがいる限り、アーリヤット皇国は、そう簡単に他国の手に渡ることはない。
俺はそう思っていたし、シルナ学院長もシュニィちゃんも、フユリ様さえそう思っていた。
キルディリア魔王国軍と、アーリヤット皇国の『HOME』とがぶつかれば。
戦争は泥沼化し、両軍共に大きな被害が出るもの…と。
そう、心配していたというのに。
俺達の予想は、あっさりと外れてしまった。
キルディリア魔王国軍は、あっという間にアーリヤット皇国を占領してしまった。
『HOME』の連中、一体何やってたんだ?
祖国存亡の危機だってのに、まさかぼーっと突っ立っていた訳ではあるまい。
そこのところが、ずっと疑問だったのだ。
「『HOME』の連中は何をやってたんだよ?アーリヤット皇国を守る為に戦ったんじゃないのか?」
「…『HOME』の構成員は、一部の精鋭を除き、直接戦闘には関わっていない」
ナツキ様は、そう答えた。
えっ…。
虎の子の部隊なんだろ?
国家の防衛戦に参加させないなんて、一体どういうつもりで…。
「なんで?何やってたんだ?」
「俺が命じたことだ。主に、国民の避難、誘導と救援物資の確保を優先させた」
…。
…そういうことだったのか。
「キルディリアが上陸するであろう港町に近い国民の、内陸部への輸送と…皇都の民の地方への移送。これらの重要な任務を任せられるのは、『HOME』の構成員をおいて他にいないからだ」
「…そうか…。…それで…」
『HOME』は、戦いに参加してたんじゃない。
戦いに、無関係の国民を巻き込ませないよう。
国民の避難と疎開の手配を、『HOME』の連中に任せていたのだ。
ナツキ様は、自分と自分の国を守る為の、貴重な戦力を。
自分の為ではなく、国民の命を守る為に使った。
…そういうことだったんだ。
「…それで、『HOME』が戦いに参加してなかったんだな。…自分を守らせる為に使おうとは思わなかったのか?」
「…。…国民が生きていなければ、王が一人生きていても仕方ない」
あぁ、その通りだな。
自分よりも、国民のことを優先する…。
こういうところは、兄妹そっくりなんだがな。
しかし、ルイーシュは。
「いくら国民を避難させても、あっさり皇都を落とされたんじゃ意味ないじゃないですか」
ずばっ、と一言。
おい。それを言ってやるなって。
「それなら皇都にこもって、徹底抗戦していた方がマシだったのでは?」
「…」
ルイーシュの言葉に、悔しそうに歯噛みするナツキ様。
苦々しく、重々しく口を開いた。
「…全国民の避難が終わり、安全が確保されれば、『HOME』を皇都に呼び戻し、攻勢に出るつもりだった」
「…」
「俺の計算では、それまでの間、皇都に残しておいた戦力で持ち堪えられるはずだった」
「そうですか。…その計算、大外れだったみたいですけど」
かわいそ。
しかし、ナツキ様はルイーシュの毒舌には乗らなかった。
代わりに。
「そうだ。計算違いだった…。…まさか、ジャマ王国が一枚噛んでいるとは、思いもよらなかったんだ」
…という、俺達にとって初耳の情報を口にしたのだ。
マシュリ君や、ネクロマンサーの子が所属していた…魔導師と非魔導師混成の、皇王直属軍。
彼らがいる限り、アーリヤット皇国は、そう簡単に他国の手に渡ることはない。
俺はそう思っていたし、シルナ学院長もシュニィちゃんも、フユリ様さえそう思っていた。
キルディリア魔王国軍と、アーリヤット皇国の『HOME』とがぶつかれば。
戦争は泥沼化し、両軍共に大きな被害が出るもの…と。
そう、心配していたというのに。
俺達の予想は、あっさりと外れてしまった。
キルディリア魔王国軍は、あっという間にアーリヤット皇国を占領してしまった。
『HOME』の連中、一体何やってたんだ?
祖国存亡の危機だってのに、まさかぼーっと突っ立っていた訳ではあるまい。
そこのところが、ずっと疑問だったのだ。
「『HOME』の連中は何をやってたんだよ?アーリヤット皇国を守る為に戦ったんじゃないのか?」
「…『HOME』の構成員は、一部の精鋭を除き、直接戦闘には関わっていない」
ナツキ様は、そう答えた。
えっ…。
虎の子の部隊なんだろ?
国家の防衛戦に参加させないなんて、一体どういうつもりで…。
「なんで?何やってたんだ?」
「俺が命じたことだ。主に、国民の避難、誘導と救援物資の確保を優先させた」
…。
…そういうことだったのか。
「キルディリアが上陸するであろう港町に近い国民の、内陸部への輸送と…皇都の民の地方への移送。これらの重要な任務を任せられるのは、『HOME』の構成員をおいて他にいないからだ」
「…そうか…。…それで…」
『HOME』は、戦いに参加してたんじゃない。
戦いに、無関係の国民を巻き込ませないよう。
国民の避難と疎開の手配を、『HOME』の連中に任せていたのだ。
ナツキ様は、自分と自分の国を守る為の、貴重な戦力を。
自分の為ではなく、国民の命を守る為に使った。
…そういうことだったんだ。
「…それで、『HOME』が戦いに参加してなかったんだな。…自分を守らせる為に使おうとは思わなかったのか?」
「…。…国民が生きていなければ、王が一人生きていても仕方ない」
あぁ、その通りだな。
自分よりも、国民のことを優先する…。
こういうところは、兄妹そっくりなんだがな。
しかし、ルイーシュは。
「いくら国民を避難させても、あっさり皇都を落とされたんじゃ意味ないじゃないですか」
ずばっ、と一言。
おい。それを言ってやるなって。
「それなら皇都にこもって、徹底抗戦していた方がマシだったのでは?」
「…」
ルイーシュの言葉に、悔しそうに歯噛みするナツキ様。
苦々しく、重々しく口を開いた。
「…全国民の避難が終わり、安全が確保されれば、『HOME』を皇都に呼び戻し、攻勢に出るつもりだった」
「…」
「俺の計算では、それまでの間、皇都に残しておいた戦力で持ち堪えられるはずだった」
「そうですか。…その計算、大外れだったみたいですけど」
かわいそ。
しかし、ナツキ様はルイーシュの毒舌には乗らなかった。
代わりに。
「そうだ。計算違いだった…。…まさか、ジャマ王国が一枚噛んでいるとは、思いもよらなかったんだ」
…という、俺達にとって初耳の情報を口にしたのだ。