神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
…で、それはまぁ良いとして。

ブラマンジュちゃん、今、かなり気になることを言ったよな?

「夜間外出禁止令って何ですか」

ルイーシュが、エリトール君に尋ねた。

そう、それ。俺も聞きたかったんだよ。

「旧アーリヤット皇国領の民は現在、午後九時以降の夜間外出を禁止してるんです」

「それは見たら分かりますよ。どうしてそんな命令を出してるのか、って聞いてるんです」

午後九時以降の外出は禁止、だって。

夜中に無性にコンビニの肉まんを食べたくなったら、どうすりゃ良いんだ?

朝まで我慢するしかないというのか。…拷問だ。

「それは…。…今は、アーリヤット領内全域で、戒厳令が出されているからです」

…戒厳令?

「アーリヤット領内では現在、旧アーリヤット皇国民の反乱や、デモ行為などが頻発しているようです。その為、夜間の移動を制限し、治安の回復に努めているところだと…そう聞いています」

「…」

「非常事態には、夜間でなくても、一斉に外出禁止令を発令する準備もしてあります」

…アーリヤット皇国民が、デモ行為を起こしている…。

…無理もない。

自分の国を、突然余所者に奪われたんだからな。

おまけに、元アーリヤット皇国民は、皇王であるナツキ様が死んだ、と思っている。

彼らにとっては、抵抗の為の唯一の希望が奪われたも同然。

そりゃ、自暴自棄にもなる。

気の毒に。

本当はナツキ様、生きてるんだけどな…。

…それにしても、反乱やデモ行為、か。

何だか街中が殺伐とした雰囲気なのも、それが理由なのかな。

「一刻も早く、アーリヤット領の治安を回復し、新しいキルディリア魔王国の領土として、統制を進めなくてはなりません」

と、エリトール君。

「キュレム様とルイーシュ様は、キルディリアの上級魔導師として、アーリヤット領統治の一旦を担う為に、ここまでやってこられたのです」

「そのお手伝いが出来る私達も、とても光栄です。共に、アーリヤット領の平定に努めましょう」

「…あぁ、うん。…そーだね」

ハナホジ。

…知らんがな。…というのが、俺の正直な感想である。

一方的に占領しておいて、治安回復がどーのこーのって…。

その前にあんたら、アーリヤット皇国の民に、言うべきことがあるんじゃねぇの?

この、軋轢の深さよ。

こんなんでちゃんとやって行けんのか、初日から不安が募る。
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