神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
10分後。

聖魔騎士団魔導隊舎に到着。

「やぁ、シュニィちゃん。こんにちは」

「あっ…学院長先生、羽久さん。こんにちは」

笑顔で迎えてくれるシュニィ。

だが、さすがに少し、疲れた様子でもあった。

そりゃそうだよな。

キュレムとルイーシュの不在は、シュニィのみならず。

聖魔騎士団の魔導師達、全員に、少なからず影響を及ぼしているはずだ。

「それから…。…令月さんとすぐりさんも」

「どうも」

「やー。元気?」

「元気ですけど…。…えっと、なんで土まみれなんですか…?」

…。…当然の疑問だな。

それは…その、色々あったんだよ。

「タケノコ、掘ってきた」

「た、タケノコっ…?」

「ついでに、イノシシ、吊し上げてきたんだー」

「イノシシっ…!?」

驚愕のシュニィ。

…ごめん、あの。ほんと。

「…こいつらなら大丈夫だから、気にしないでくれ」

「だ、大丈夫なんですか…?本当に…?」

「…あぁ…」

…大丈夫ってことにしておいてくれ。

「それより、シュニィ…。シルナが差し入れだって」

「え?」

「はい、シュニィちゃん。これ、私のお気に入りのお店のチョコケーキ」

シルナが、買ってきたばかりのチョコケーキの箱を、シュニィに渡した。

「まぁ…。どうしたんですか?いきなり…」

「キュレム君とルイーシュ君がキルディリア魔王国に行ってしまって…。…シュニィちゃんが心配してないかな、と思って」

「…それは…」

図星を突かれたようで、口ごもるシュニィ。

…やはりな。

自分のことのように、仲間を心配せずにはいられないのだから。

…まぁ、俺やシルナも、あまり偉そうに人のことは言えないが。

「あの二人なら、きっと大丈夫だよ。確かにキルディリア魔王国は、危険な国だけど…」

「いえ…。キルディリアではなく…彼らは今、アーリヤット皇国にいるはずです」

と、シルナの言葉を遮って答えるシュニィ。

…え?

「今朝、エリュティアさんが探索魔法で確かめてくれました。キュレムさんとルイーシュさんの『痕跡』が、アーリヤット皇国にあると。…どうやら、お二人共無事に、旧アーリヤット領に辿り着いたようです」

何だって?

「…どういうこと?キュレム君とルイーシュ君は、キルディリア魔王国にいるんじゃ…?」

「いえ、それが…。実は、お二人はイシュメル女王の命令で、キルディリアから、旧アーリヤット領に派遣され、…あれ?」

…あれ?

シュニィは突然言葉を止め、驚いたように目を開いていた。

「…どうした?」

なんで、喋るのをやめたんだ?

「え?あの…。令月さんとすぐりさんは?」

「ん?」

シュニィに言われて、俺とシルナは、同時に横を見た。

さっきまで、令月とすぐりが立っていたはずの場所に。

しかし、そこにはもう誰もいなかった。

音もなく、気配もなく、挨拶の一つもなく。

いつの間にか、霧が消えるように、二人共忽然といなくなっていた。

…あいつら、一体何処に行った?
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