神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
探索魔法で、ベリクリーデを探すエリュティアを。

俺達は、緊張の面持ちで見つめていた。

5分くらい、そのまま、固唾を呑んで見守っていると。

「…ふぅ…」

不意に、エリュティアが探索魔法を解除した。

おっ…。

「エリュティア…。どうだ?」

真っ先に、ジュリスが尋ねた。

答えを聞いたらすぐ、走り出しそうな勢いである。

「ベリクリーデさんは…今、ルーデュニア聖王国にはいないようです」

エリュティアは表情を硬くして、探索魔法の結果を答えた。

「…」

きゅっ、と唇を噛み締めるジュリス。

…なんてことだ。

ベリクリーデが…もう、ルーデュニア聖王国にいないなんて。

ってことは、ベリクリーデ誘拐犯は、ベリクリーデを捕らえるなり、すぐルーデュニア聖王国を出ていったってことか。

随分と素早い…迅速な行動だ。

それだけ、周到に用意していたということなのだろう。

「恐らく今は、海の上…。ベリクリーデさんの気配が、段々と離れていくのが分かります」

「…行き先は?」

「気配が遠くて、まだはっきりとはしませんが…。…恐らくは、キルディリア魔王国かと」

「…そうか」

キルディリア魔王国。

それじゃあ…ベリクリーデ誘拐のシナリオを立てたのは…。

「まさか…イシュメル女王が…」

「…あの、クソババア」

ジュリスが、ジュリスらしからぬ毒舌を吐いた。

クソババアって。

ジュリスの口から、そんな汚い言葉が出てくるとは。

ベリクリーデのことに関しては、理性を失うらしいな。

指摘したら逆ギレされそうだから、何も言わないけど。

「じゅ、ジュリスさん。これからどう、」

「決まってるだろ。…ベリクリーデを助けに行く」

シュニィの問いかけに、分かりきったことを聞くな、と言わんばかりに答えるジュリス。

怖っ…。

「ちょっと落ち着け」とか、「気持ちは分かるけど冷静になれ」とか。

そう言いたいけれど、言っても、今のジュリスには全然届かないだろう。

「でも…ジュリス…」

キルディリア魔王国は危険な国だって、ジュリスも充分に分かっているはず、

しかし。

「お前らに迷惑はかけねぇ。…俺一人で行く」

「だけど…」

「俺だって、状況は分かってる。キュレムとルイーシュがいなくて、ただでさえ人手が足りてないんだ。だから、俺が一人で行く」

…怒りのオーラを纏ってはいるが。

一応、冷静な部分も残ってるんだな。…ジュリスらしい。

「それに…。ベリクリーデは、俺の不注意のせいで連れ去られたんだ」

ジュリスは、血が出るほどに強く、自分の拳を握り締めた。

みすみす、ベリクリーデを連れ去られてしまったことを…深く後悔しているようだった。

誰よりもジュリスは、自分に対して怒っているのだ。

…分かるよ。

これがシルナだったら…俺だって、同じように思っていただろうから。
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