神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
このままでは、ジュリス火山が噴火してしまう。

普段怒らない奴が怒ると、恐ろしいことになると言うが。

あれは本当だな。

迫力が段違いだ。

シルナなんか、ビビり過ぎて、ずっと俺の背中に隠れている。

この卑怯者め。

思えば、令月とすぐりが、何も言わずに行方をくらませたのは。

近づいてくる炎のオーラ…ジュリス…の気配に、いち早く気づき。

君子危うきに近づかず、とばかりに逃げ出したのだろう。

ちゃっかりした奴らだよ。

そういう気配を察知したら、俺達にも教えてくれよ。

お陰で、この場は、絶賛修羅場である。

気の毒なことに、エリュティアは突然呼び出され。

そこで、炎のオーラを纏うジュリスを前に、彼も震えていた。

ごめんな。本当にごめん。

ジュリスは、白いビニール袋をエリュティアに差し出し、言った。

「探索魔法で、ベリクリーデの居場所を追ってくれ」

突然の呼び出しと、突然の要望に、困惑するエリュティア。

「ベリクリーデ…さんの?それは…どういう…」

「…」

「あっ、すみません…」

…エリュティアが悪い訳じゃないからな。

めちゃくちゃ睨まれてるけど。ジュリスに。

すると。

ジュリスは、重々しく口を開いた。

「…ベリクリーデが、何者かに攫われた」

「えぇっ…!?」

…ベリクリーデが、何者かに攫われた?

成程、それならジュリスが「こんな状態」になっているのも、納得…。

…って、納得出来るか。

「どうして…!?誰に…。一体、いつの間に…!?」

「…」

ギロッ、と目を吊り上げるジュリス。

そんなの俺が聞きてぇよ、と言わんばかり。

「あ、ご、ごめん…」

今、一番不安な気持ちを抱えているのは、他でもないジュリスだもんな。

「…誰が、何処に連れて行こうと、関係ない」

ジュリスは、相変わらず低い声でそう言った。

「必ず連れ戻す。…それだけだ」

「…そう、だよな…」

その通りだ。

それ以外、大事なことはない。

「だから、エリュティア。…ベリクリーデの居場所を探してくれ」

「は…はい。少し…その、待っててください…」

ジュリスの剣幕に、たじたじしながらも。

エリュティアは、白いビニール袋に残された、ベリクリーデの『痕跡』を頼りに。

「hearcs」

お得意の探索魔法で、ベリクリーデの現在地を探り始めた。
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