神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
第二部9章

sideベリクリーデ

ーーーーー…ジュリスと一緒に、お買い物に来ていたところを。

突然、知らない男の人達に連れて行かれて。

そのまま、目隠しをされて、足に枷のようなものをつけられて。

自分が何処にいるのかも分からないまま、知らない場所に連れて行かれた。

どんぶらこ、どんぶらこと上へ、下へと揺れる感覚から。

多分、船に乗って何処かに連れて行かれてるんだろうな、と思った。

…ううん、何処に向かってるのかは、大体分かっている。

多分近いうちに、何かが起きるだろう、って思ってた。

だから、連れて行かれたこと事態は、別に怖くない。

それよりも、私は…ジュリスのことばかり考えていた。

私、ジュリスに何も言わずに、勝手に出てきちゃった。

おやつに、一緒にカプリッコと、じゃがりっこを食べるはずだったのに。

勿体ないことしちゃったな…。

ジュリス、心配してるかな?

私のこと、勝手にいなくなった悪い子だと思ってるかな。

…ごめんね、ジュリス。

出来れば、すぐにでも、早く帰りたいのだけど…。





「…着きました」

「ふぇっ」

突然、目隠しを外されて。

ずっと真っ暗だったから、いきなり目隠しを外されると、凄く眩しい。

それに、足を繋いでいた枷も外された。

…やっと自由になった。

自由になったけど、私の周囲を取り囲むように、ここまで私を連れてきた男の人達が立っていたから。

今すぐ走って逃げる、ということは出来そうにない。

…その上。

ようやく、眩しさに目が慣れてくると。

目の前に、すらっと背の高い、若い男の人がいた。

その人が、私に向かって恭しく、頭を下げてこう言った。

「ようこそいらっしゃいました。…『聖神ルデスの写し身』様」

「…。…誰?」

「私はイシュメル女王陛下の家臣…。…シディ・サクメと申します」

「…」

いしゅめる女王…っていう人の名前、聞いたことがある。

「…ここ、キルディリア魔王国、なんだね」

「お察しの通りです」

…やっぱり。

この国に来るのは、これで2回目だね。

1回目は…クロティルダを探しに来た時。

あの時と違うのは、前回は私の意志で来たけれど。

今回は、私の意志とは関係なく、無理矢理連れてこられたという点だ。

「どうして?…なんで私を連れてきたの?」

「申し訳ございません、写し身様。乱暴な真似をするつもりはありませんでした。強引な手段を取ってしまったこと、お詫び致します」

そんなことは良いんだよ。どうでも。

優しく拉致されたって、嫌だったはずだから。

「私、ルーデュニア聖王国に…ジュリスのところに帰りたい」

「…それは…」

「帰らせて」

「…申し訳ありませんが、それは出来ません」

…そうなんだ。

それは残念だね。
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