神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
ベリクリーデは、ぽやんとして。

「…?ジュリスが怒ってる」

とか呟いていた。

当たり前だろ。

忘れたとは言わせないぞ。お前も忘れてないだろ。

クロティルダが勝手に、何も言わずに姿を消してしまって。

そのせいでベリクリーデは、泣いて落ち込み。

はるばる、キルディリア魔王国までクロティルダを探しに行く羽目になった。

何だかんだあって、まぁ、一応無事に見つけて、戻ってきたからさ。

それは良かったけど、でも、それで一件落着、とは言わせないからな。

きちんと謝罪を…そう、土下座級の謝罪をしてもらわないとな。

…え?心が狭い?

うるせぇ。勝手にいなくなるのが悪い。

「おい、クロティルダ!どうせいるんだろ?出てこい。姿を見せろ!」

どうせ、あいつのことだ。

今も、ベリクリーデの近くをちょろちょろしてるんだろ。

すると、案の定。

「俺を呼んだか?」

「あ、クロッティだー」

ベリクリーデの背後から、幽霊みたいに、スッと姿を現した。

出たな。ストーカー天使。

早速、説教を食らわせてやろうと思ったが。

クロティルダの姿を見たベリクリーデは、目を輝かせて、ててて、とクロティルダに寄っていき。

手に持っていた雑草を、クロティルダに見せた。

「あのね、クロッティ。見て見て」

「何を?」

「ほら。二つ葉のクローバー見つけたんだよ」

「ほう。それは珍しいな」

おい。何をやってるんだベリクリーデ。

これから説教なんだぞ。

ってか、二つ葉って何気に凄いな。四つ葉より珍しくないか?

「何処で見つけたんだ?」

「魔導隊舎の裏庭」

メイカイバナバナバナナを植えてる、あの花壇のことだな。

へぇ、そんなところに…。よく見つけたな。 

「…って、今、そんなことはどうでも良いんだよ!」

「ふぇ?」

「クロティルダ!ちょっとそこに座れ」

「…」

俺が怒鳴りつけると、ベリクリーデとクロティルダは、無言で互いに顔を見合わせ。

…二人して、並んでその場に体育座りした。

…いや、ベリクリーデは座らなくて良いんだけど。

あぁ、もう良い。

「どうしたの?ジュリス…。何だか怒ってる」

「あぁ、怒ってるよ。…何でか分かるか?」

「うーん…。…あっ、分かった」

ベリクリーデは、何を思ったか。

「大丈夫だよ。次に二つ葉のクローバーを見つけたら、ジュリスにあげるからね」

「…別に、クローバーが欲しかった訳じゃねぇよ…」

怒りが萎えるから。話の腰を折るんじゃねぇ。な?頼むから。

「そうじゃなくて、クロティルダ。お前だ」

「…俺か?」

お前だよ。

「何で俺が怒ってるか、分かるか?」

俺が問いかけると、クロティルダはじっと考え。

それから。

「…。…更年期か?」

「…ぶっ飛ばすぞ」

悪いことは言わない。

これ以上、俺を怒らせない方が良いぞ。
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