神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
何はともあれ。

まずは、ベリクリーデが無事で何よりだ。

「よし。ベリクリーデ、これから…」

「ごめんね、ジュリス」

「は?」

何?なんで謝った?

「私、知らない人について行ったら駄目って、ジュリスに言われてたのに…。…連れて行かれちゃった」

…あー…。

…それは、まぁ、言ったけど。

ベリクリーデ、お前はついて行ったんじゃなくて、連れて行かれたんだろ?

「ごめんね」

「…お前が謝る必要はねぇよ」

むしろ、悪いのは俺だ。

俺は、しょんぼりするベリクリーデの頭に、ポンと手を置いた。

「謝るべきなのは、俺の方だ…。あんな見え透いた…つまらねぇ罠に引っ掛かって、お前を一人にしてしまった…」

忘れてないからな。あのババア。

道に迷ったフリをして、俺とベリクリーデを分断させやがった。

まんまと引っかってしまった自分も、同じくらい大罪だけどな。

「寂しかったろ?」

「うん。…ううん、大丈夫」

咄嗟に頷いて、でもすぐにハッとして、首を横に振るベリクリーデ。

…強がんなって。

「…でも、やっぱりちょっと…かなり…凄く…とっても…寂しかった」

「…そうか」

最大級じゃないか。

そうだな。…悪いことをしてしまった。

「ごめんな、心細い思いをさせて…。だけど、もう大丈夫だから」

「うん…」

「俺が絶対に、お前を連れて帰る。何があっても、必ず守ってみせる」

「…一緒にいてくれる?」

「あぁ。…約束するよ」

「…ん」

こくん、と頷くベリクリーデ。

よし。良い子だ。

「…でも、ジュリス」

「ん?」

「どうやって、ここまで来たの?」

…えぇっと、それは。

「俺が連れてきた」

俺の真横にいたクロティルダが、そう答えた。

「…あ、クロティルダだ」

ベリクリーデ。お前、今気づいたのかよ。

「クロティルダもいる。クロッティ〜」

ベリクリーデは、俺から離れ。

今度は、俺の隣のクロティルダに、ぽふっと抱きついた。

………は?

そのまま、さっき俺にしたみたいに、ぐりぐりと甘えていた。

「遅くなって悪かったな、我が姫」

「ううん。平気だよ」

「そうか」

そっと、ベリクリーデの髪に手を触れ。

よしよし、と撫でてやるクロティルダ。

…何だろう。

なんか、めっちゃムカつく。

腹立たしかったので、俺はゲシッ、とクロティルダの足の甲を踏んづけてやった。

「…何故踏む?」

「うるせぇ」

…え?ここまで瞬間移動して連れてきてくれた恩人に、失礼じゃないか、って?

…黙れ。

それはそれ、これはこれなんだよ。
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