神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「で、で、で、出たぁぁぁぁ!?」

素っ頓狂な声を上げるシルナ。

それを聞いて、イレースは露骨に顔をしかめた。

「…何です。人をまるで、幽霊か何かのように」

「ぴぇぇぇぇぇ。羽久ぇぇぇ…」

あろうことか、俺の背中に隠れようとするシルナ。

俺を盾にするなよ。

「大体、その箱も何ですか」

イレースは目敏く、シルナが床に落っことした箱…高級チョコの箱…を見下ろした。

さすが。小さな箱でも、イレースなら見逃さない。

「え、いや、これは、その、」

「またチョコレートですか。…バクバクとチョコレートばかり食べて…。いっそ砂糖漬けにしてあげましょうか?」

「ほらぁぁぁ!やっぱり言ってる!」

凄いな、シルナ。ドンピシャだったぞ。

イレースに嫌味を言われたくないなら、チョコばっか食うなよ。

「違うんだよ、イレースちゃん。それは、その…糖分補給の為に。今、頭を悩ませることがいっぱいあるでしょ?だから、疲れた身体を癒やそうと…」

「疲れてようが疲れてなかろうが、あなたは四六時中、年中無休で糖分『しか』補給してないでしょう」

「うぐっ…!」

痛いところを突かれたな。

でも事実だから、言い返せない。

そんなシルナに、更なるイレースの毒舌が突き刺さる。

「本当に疲れを取りたいだけなら、ゆっくりベッドで休むなり、マッサージを受けるなり、他にも色々と方法があるでしょう。それだけ長く生きてて、食べること以外の疲労解消法しか知らないんですか?」

「うぐっ…」

「しかも、甘いものばかり。砂糖依存症って知ってます?精神病の一種だそうですよ。メンタルクリニック、紹介しましょうか?」

「ふぐっ…!」

「あぁ、それとも老人ホームが良いですか?そうですね、そろそろ介護が必要な歳ですもんね。分かりました、すぐにでもあなたが入れる老人ホームを紹介しますよ」

「ふぇぇぇん!羽久!イレースちゃんがいじめる〜っ!!」

…残念だったな。

イレース相手に、口で勝てると思ったら大きな間違いだ。
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