神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
シルナの提案で、聖魔騎士団魔導部隊隊舎に向かうと…。




「やぁ、シュニィちゃん」

「あら…。シルナ学院長先生」

シュニィが、丁度、大きな会議室から出てきたところに鉢合わせした。

「ごめんね、急に訪ねてきて…。ちょっと良いかな?」

「勿論です。今、丁度大隊長会議が終わったところなんです」

そうだったのか。

「それじゃあ…まだ、みんな揃ってるかな?」

「え?は、はい…」

「ごめんね。出来ればシュニィちゃんだけじゃなくて、みんなにも話がしたいんだ。…入って良い?」

「…??はい…。大丈夫ですけど」

戸惑いながらも、シュニィは了承してくれた。

聖魔騎士団の…魔導部隊の大隊長達に?

シルナが何を提案しようとしているのか、俺もまだ知らないのだが…。

シュニィのみならず、魔導部隊大隊長、みんなに相談しようとしているのだから。

多分、只事じゃないんだろうなってことは、分かる。

俺はシルナの後について、さっきまで会議が行われていた会議室に入った。

すると。

「えっ…?羽久さん…?」

真っ先に、手前の椅子に座っていたクュルナが、俺に気づいて声を上げた。

あ、どうも。

「どうしたんですか…?今日は…」

「ごめんな、クュルナ…。突然押しかけて…」

「い、いえ…。そういう意味ではなく…。私はむしろ、羽久さんならいつでも…」

「え?」

ちょっと、声が尻すぼみになって、よく聞こえなかった。

「…いえ。何でもありません」

「そ、そうか…?」

「うわー…。学院長までいる…」

会議室の机に肘をついて、ルイーシュがジト目で、シルナを見つめていた。

…面倒事が歩いてやって来た、と言わんばかりじゃないか。

…まぁ、実際そうなのかもしれないけど。

「学院長と羽久じゃん。なんでいるの?」

キュレムが、頭の後ろで手を組んでそう言った。

「会議が終わったから、この後ルイーシュと、肉まんでも買いに行こうと思ってたのに…」

「ごめんな…キュレム」

「や…。別に良いけど…」

そうか。

「なんか用か?」

ジュリスが、シルナに尋ねた。

…ちょっと待ってくれ、ジュリス。その前に一つ聞かせてくれ。

「…ジュリス。ベリクリーデは何をしてるんだ?」

ベリクリーデは、ジュリスの横の椅子に腰掛け。

クレヨンとスケッチブックを持って、何やら、せっせと絵を描いていた。

…今、大隊長会議をしてたんだよな?

なんでお絵描き…?

「…仕方ないだろ。こいつ、お子様だから」

ジュリスは、顔をしかめて答えた。

「会議だっつーのに、会議の内容をまったく理解してない上に、じっとしてるのが退屈らしくて、途中からそわそわし始めるから…。お絵描きでもさせようと思って」

「そ、そうだったのか…」

…で、お前達は、お絵描きをするベリクリーデの横で、何事もなかったように会議を続行したのか。

想像してみた。

…うん。なかなかシュールな光景だな。

「それもこれも、こいつの落ち着きがないのが悪いんだ…」

と、毒づくジュリスだったが。

ベリクリーデは、自分のことを言われているとは、まったく気づいていないらしく。

「ジュリス、見てー。出来た」

無邪気な顔で、完成した絵をジュリスに掲げて見せた。

「おぉ、良かったな…。…って、それは何だ?」

「ジュリスが、ドーナツの輪っかに挟まってる絵」

「なんでそんなもん描いてるんだよ…!?」

…えーと。

…苦労してるんだな、ジュリス。
< 24 / 328 >

この作品をシェア

pagetop