神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
反政府…デモ。

ついに、アーリヤット皇国の民が立ち上がったのだ。

新政府…キルディリア魔王国の支配に抵抗する為に。

自らの築いてきたアイデンティティを、取り戻す為に。

「で…デモ、ですか…」

「旧アーリヤット皇国領の国民達は、魔導師、非魔導師の区別なく…キルディリアの新体制に抗うべく、武器を取って立ち上がったようです」

「そう…。そうですか…」

…よくぞ立ち上がった、と言うべきか。

キルディリア魔王国が、アーリヤット人の魔導師を露骨に優遇したことが原因で。

アーリヤット皇国領では、魔導師と非魔導師の間で溝が広がっていた。

しかし…新政府の体制のもと、潜在的な不満を募らせていたのは、魔導師も非魔導師も同じだったようだ。

そこで…彼らは互いに手を組み、自分達を支配しようとする、キルディリア魔王国に反抗を始めた。

これまでは、バラバラだったはずのアーリヤット皇国の民が。

突然、魔導師と非魔導師の区別なく、互いに手を取り合い、武器を取り合った。

…その理由、デモ活動の引き金となったのは、間違いなく。

「…キュレムとルイーシュのお陰だな」

俺は、シルナに向かってそっと言った。

「…うん、そうだね」

シルナも、微笑みながら頷いた。

キュレムとルイーシュは、大胆な方法を使って。

ナツキ様がまだ生きていることを、アーリヤット皇国の民達に知らせた。

アーリヤット皇国民達が立ち上がったのは、失っていたはずの希望を取り戻したからだ。

彼の国を、本当に正しく導くことが出来る、唯一の存在。

そう、皇王ナツキ様が、生きていることを知ったから。

そこでアーリヤット皇国民は、ナツキ様の身柄の返還、及び。

キルディリア魔王国軍の、アーリヤット皇国からの全面撤退を要求し。

各地で、デモ活動を起こし始めたのである。

< 240 / 328 >

この作品をシェア

pagetop