神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
シュニィ…。 

こういう時、真っ先に名乗り出るのは…いかにもシュニィらしい。

「フユリ様も、きっとそうすることを望んでいらっしゃるんですよね?」

「それは…そうだけど、でも駄目だよ。シュニィちゃんは…」

慌てて、シルナが止めようとした。

「安全は保証出来ないんだよ?最悪…無事に帰ってこられるかどうかも分からないんだ」

イシュメル女王が、俺とシルナをキルディリア魔王国に幽閉したように。

今度は、シュニィを同じ目に遭わせるかもしれないのだ。

「シュニィちゃんには、子供達が…」

万が一が起きた時、シュニィとアトラスの子供達…アイナとレグルスが、取り残されることになる。

それだけは絶対に止めなければならないと、シルナはいつもの理由で断ろうとしたが。

「いいえ。私が行きます」

今日のシュニィは、一味違った。

「しゅ、シュニィちゃん?」

「いつも、それが理由です。私には子供がいるから、家族がいるから…。それを理由に、いつも危険な任務から外されて…。冥界遠征の時だって…」

…それは。

「もう待っているだけでは嫌なんです。私も、聖魔騎士団の魔導師として、皆さんの役に…学院長先生のお役に立ちたいんです」

「そんな…。シュニィちゃんには、もう充分良くしてもらってるよ」

シュニィに「役に立たない」なんて言ってみろ。

天罰が下るぞ。

って思うくらい、いつも俺とシルナのことを支えてくれているのに。

しかし、今回のシュニィの決意は固かった。

「いいえ、もう決めたんです。黙って待っていることなんて、私には出来ません」

きっぱり。

今日のシュニィは、いつになく頑固だぞ。

「お願いです。私に行かせてください」

「シュニィちゃん…」

これには、シルナも「ダメ」とは言えなかった。

どうやら、決意は固いようだ。

「…分かったよ、シュニィちゃん」

「…!学院長先生、それなら…」

「うん。今回は君にたの、」

と、シルナが言いかけた、その時。

「話は聞かせてもらったぞ!!」

「ひぇっ!?」

会議室の扉が、どがっしゃーん、と派手に開き。

「あ、アトラス…!?」

シュニィの夫のアトラスが、会議室に飛び込んできた。

死ぬほどびっくりした。

シルナなんて、腰を抜かしている。

お前、一体何処で聞いてたんだ?

「…なぁ、今、ドア…壊れたんじゃね?」

「ドアノブがもげてますね」

キュレムとルイーシュが、ひそひそと話していたが。

鼻息を荒くしたアトラスには、そんな言葉は勿論聞こえていない。

「あ、アトラスさん…!?どうしたんですか、いきなり…」

「シュニィが行くなら、俺も行くぞ!何処にでも!」

ちょ、わ、分かったから。

そんな大きな声で話さなくても、聞こえてるよ。

「…で、何処に行くんだ?」

「アトラスさん…。あなたって人は…」

…どうやら、アトラスは。

シュニィが何処かに行く、と聞きつけて飛んできただけで。

何処に行くかとか、何をしに行くかとか、そういうことは全く眼中になかったらしい。

アトラスらしいと言えば、らしいが。
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