神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
10分後。

俺は、着替えさせたベリクリーデと共に、急いでシルナ・エインリーのもとに向かった。

「はぁ、はぁ…。悪い、遅くなった…」

「あ、ジュリス君…。ベリクリーデちゃんも。ごめんね、こんな時間に…」

「いや…」

シルナ・エインリーが聖魔騎士団にやって来た、と聞いたが。

そこにいたのはシルナ・エインリーだけではなく、羽久・グラスフィアと。

それから何故か、読心魔法使いのルーチェス・ナジュ・アンブローシアもいた。

…何故…?

「ふわぁ…。ねむ…」

「まったくですよ…。人を訪ねる時間じゃないでしょう」

先に来ていたキュレムとルイーシュは、眠そうな目を擦っていた。

「ご、ごめんね?でも、ちょっと緊急事態で…」

「何が緊急事態なんだよ。俺の腕の筋肉痛の方が緊急事態だわ」

「俺もです。キュレムさんを連れてアーリヤット皇国領から逃げてきて、疲れてるんですから」

キュレムとルイーシュの、チクチク言葉が止まらない。

まぁ、そう言ってやるなよ…。

すると、教え子に責められたシルナ・エインリーは、何を思ったか。

「えぇっと…あ、そうだ。眠気覚ましに…ほら、チョコあげるから」

とか言って、キュレムとルイーシュに小分けのチョコを渡していた。

…眠気覚ましにチョコなんて、聞いたことないんだが?

それから、なんでそんな都合良くチョコレートを持ち歩いてるんだ?

それを見て、ベリクリーデも目を輝かせた。

「あ、チョコだ。良いなぁ」

「ベリクリーデちゃんにもあげるよ」

「わーい、ありがとう」

ベリクリーデまで。

「もちゅもちゅ…。…ジュリス、チョコ美味しい」

「良かったな…」

深夜に甘いものはやめなさい。…と言いたいところだが。

見逃してやるよ、今回はな…。それと、寝る前にもう1回歯を磨くのを忘れるな。

…それから。

「さすが、学院長が持ち歩いてるチョコ。美味しいですね」

「深夜に食べる甘いものって、なんつーか…背徳感があって、めっちゃ美味いよな」

「おい、キュレム。ルイーシュ」

「うわっ、何だよジュリス」

何だよ、じゃねぇ。

忘れたとは言わせねぇぞ。

「お前ら…。変な噂を流してくれてるらしいじゃないか?」

「は?何の話?」

しらばっくれんな。

「俺とベリクリーデが、その…お楽しみだとか何とか」

「は?お楽しみしてんじゃん。なぁ、ベリクリーデちゃん」

「ふぇ?」

「ジュリスさんと楽しいこと、いつもしてますもんね?」

「…??うん、ジュリスといると、いつも楽しいよ」

「ほらな」

ほらな、って何だよ。

「やることやってんじゃねぇか。なぁ?おい」

「…お前ら…!」

誘導尋問じゃねぇかよ。

ベリクリーデは、その…キュレムが言うところの、「やることやってる」の、「やること」が何なのか、分かってないに違いない。

言っとくけど、何もやってないからな。

「いい加減に、変な噂を流すのは…!」

やめてくれ、と言おうとしたら。

その時。

「すまない!遅くなった!」

「学院長先生…!お待たせして、申し訳ありません」

この場にいなかった、アトラスとシュニィがやって来た。
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