神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
さっきまで寝ぼけ眼で、ぽやんとした顔で聞いていたのに。

突然覚醒したように、ぱっちりと目を開き。

そして、もう一度、

「ジュリスが行くなら、私も行く」

と、言い出すではないか。

…何言ってんだ、お前は。

「あのな…。遊びに行くんじゃないんだぞ。戦争の片棒を担ぎに行くんだ。それを分かってるのか?」

「…?…うん、分かってるよ」

嘘つけ。今、ちょっと首を傾げただろ。

これまで、色々な危険な修羅場にベリクリーデを連れ回したが。

今回ばかりは、容認する訳にはいかない。

「駄目だ」

「なんで?」

なんで、じゃない。

「お前がいて良いようなところじゃない」

戦場ってどんな場所か、お前、知らないだろ。

知らずに生きていけるなら、絶対にその方が良い。

ましてや、自国の存亡の危機という訳でもない。

他国の戦争に首を突っ込み、引っ掻き回すという立場なのに。

「ベリクリーデ、お前は留守番だ」

「嫌。ジュリスが行くなら、私も行く」

「はぁ…!?」

ベリクリーデは、片手どころか、両手を上げて立候補した。

その手を降ろしなさい。

「一緒に行くもん」

いつになく、頑な。

「ばっ…。駄目だって言ってるだろ。ベリクリーデ、お前は大人しくまっ、」

「嫌」

あろうことか、ベリクリーデは両手で、俺の服の袖をがっちりと掴んだ。

ちょっ…その手を離しなさい。

…ったく。

「誰か…。シュニィ、この馬鹿を止めてくれ」

「分かりますよ、ベリクリーデさん…。私だって、アトラスさんが行くなら、絶対に私も行くと言い張っていたと思います」

おい、ちょっと。

シュニィに止めて欲しくて声をかけたのに、むしろベリクリーデに賛同してどうする。

「誰がベリクリーデを煽れと…。羽久、お前も何とか言ってやってくれ」

「そう言われてもな…。俺だって、ベリクリーデの立場なら…。シルナが行くなら俺も、って言ってただろうからな」

あぁ、もう。お前らと来たら。

相棒愛が強過ぎる。

「それじゃあ…そうだ、キュレム、ルイーシュ。お前らもベリクリーデを止め、」

「良いんじゃねぇの?連れてってやれば?」

「はぁ!?」

何を言い出してるんだ、キュレム。

お前、他人事のように。

「ベリクリーデを危険に晒して、どう…!」

「だってジュリスさんがいなかったら、またクロティルダさんが来ますよ。『ジュリスがいなくて寂しいの』『そうか、じゃあ俺が代わりに傍にいよう』『ありがとう、クロッティ』みたいな」

「よし分かった。ベリクリーデ、お前を連れて行くよ」

「!…やったー」

…他に、俺にどんな選択肢があるというんだ?

畜生。

とりあえずルイーシュ、そのムカつく声真似、やめてくれ。今すぐにだ。
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