神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
…だって。しょうがないじゃないか。

俺だって、ベリクリーデを危険な場所には連れて行きたくない。

でも…連れて行かなかったら、またあのクソ天使ストーカー天使が来て。

あろうことか、またベリクリーデに膝枕をしていたら…。

…イラッ。

思い浮かべるだけで、腹立たしい。

…とはいえ。

「ベリクリーデには…戦争の経験なんて…」

連れていきたいのは山々だが、でも、未経験者のベリクリーデを戦場に連れていくのは、やはり…。

「…いえ、彼女なら大丈夫だと思いますよ」

「え?」

ナジュは、ベリクリーデをじっと見つめながら言った。

…何だと?

「…どういう意味だ?」

「…とにかく、深夜で申し訳ないんですが、僕に同行してくださる方は、すぐに準備をしてください」

ナジュは俺の質問には答えず、露骨に話を逸らした。

おい。

「今にも、キルディリア魔王国軍がアーリヤット皇国領に到着するかもしれない。ぐずぐずしてる余裕はありません」

それは…分かるけど。

「準備が出来次第、アーリヤット皇国領に向けて出発します」

「あぁ、分かった」

「分かりました」

無闇とクュルナが、真っ先に頷き。

そして、ベリクリーデが、さながら遠足気分で、

「だって、ジュリス。準備してこよっか」

と、俺の上着の袖をちょいちょいしてきた。

…あのな。これは遠足じゃ…。

…あぁ。もう…。今は、ベリクリーデに言い聞かせてる時間はないんだ。

こうなったら、腹を決めるしかなかった。

「…ベリクリーデ、良いか。俺がお前を守ってやる。だから、俺の傍から離れるなよ」

「うん。ずっと一緒にいるよ」

ベリクリーデには、掠り傷一つつけさせない。

何としても…俺が、ベリクリーデを守らなくては。
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