神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
そして、最後に。

聖魔騎士団の大隊長勢に。

「無闇さん、クュルナさん、そしてジュリスさんとベリクリーデさんは、反乱の鎮圧をお願いします」

あ、ついでに僕も。

「キルディリア魔王国軍の虐殺行為を止め、一人でも多くのアーリヤット皇国民を救ってください」

羽久さんと学院長、令月さん、すぐりさん、マシュリさんを別働隊とし。

天音さんを、後方支援とするなら。

無闇さん、クュルナさん、ジュリスさん、ベリクリーデさんは…いわば本隊。

最前線に出て戦う、突撃部隊みたいなものですね。

「あぁ、分かった」

無闇さんは、承知しているという風に頷いた。

覚悟は出来ている、というところですか。

「分かっていると思いますが、今回、一番危険な目に遭うのは、あなた方です」

僕は、はっきりと無闇さん達に告げた。

何せ、実際にキルディリア国軍と対峙し、反乱に巻き込まれるのは彼らだ。

こういうことは、事前にはっきりと伝えておくのが指揮官の義務だと思った。

「皆さんの命が最優先です。誰を殺しても、誰も殺さなくても結構ですが、必ず、無事に帰ってきてください」

ルーデュニア聖王国に帰る時は、ここにいる全員が一緒でなければ。

誰一人、欠けることがないように。

誰一人…異国の地に骨を埋めることがないように。

決して、無理はしないように。

「心配するな。引き際は弁えている」

「私も…。まだ死ぬつもりはありませんから」

「大丈夫だ。ベリクリーデは俺が守る」

「じゃあ、私もジュリスを守ってあげるね」

四人の「精鋭」達は、それぞれ頼もしい返事をしてくれた。

…そうですか。

皆さん、経験者ですから…いちいち僕が指示する必要はありませんね。

「それより、お前も気をつけろよ」

「え?」

羽久さんが、釘を刺すように僕に言った。

…え、僕?

「何をきょとんとしてるんだ、お前は…」

いや…自分のことを聞かれるなんて、予想外だったものだから。

「僕は大丈夫ですよ。だって、僕はふじ、」

「不死身だから大丈夫、って言うつもりじゃないだろうな」

「…」

…凄いですね、羽久さん。

いつから読心魔法が使えるようになったんですか。

冗談ですけど。

「不死身とか関係ないんだからな。お前に何かあったら、作戦全体が崩れるんだから。何があっても、お前は無事じゃなきゃいけないんだぞ」

「そうだよナジュ君。君が倒れたら、僕達みんなが困るんだからね。絶対無事でいて。怪我しないで。僕、ナジュ君の怪我を治すなんて嫌だからね」

「わ、分かった。分かりましたから」

羽久さんのみならず、天音さんまで。

二人して、そんな鬼気迫る顔で迫ってこないでください。

分かりましたよ。

いざとなったら、僕が爆弾抱いて特攻…とか、考えなくもなかったんですけどね。

無理そうですね。…残念ながら。

仕方ない。今回は平和に行きますか。

「みんな揃って、無事に帰るって言っただろ。お前も一緒だ」

「分かりました。…そうしましょう」

皆さんが、そのつもりなら。

僕も努力しますよ。…全力でね。
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