神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
僕達三人は、揃って、キルディリア魔王国の王都、ファニレスに向かった。
まったく話が早いと言うか、テンポが良いと言うか。
僕は、二人の元暗殺者を先導しながら、道中何度か振り返り。
「疲れてない?休憩する?」と尋ねたが。
二人共、「必要ない」とすげなく答えるだけで。
しかも、本当にまったく疲れていないようで、感心した。
こんな人間、滅多にいるものじゃないよ。
どんな訓練を積んだら、この歳で、ここまでしっかりした人間に育つんだが。
逆に、あまり人間らしく見えないね。
今ばかりは、そのお陰で助かってるけど。
「…見えてきたね」
「そーだね」
出来るだけ人のいない、森林地帯や、裏道のような場所をこっそり通りながら。
ようやく、ファニレス市街に入ると。
遠目に見えていたクリスタルの王宮が、いよいよ間近に見えてきた。
ここまで来れば、人間である令月とすぐりでも、目視出来るだろう。
これまでずっと、人通りを避けてきたけれど。
ここから先は、そうは行かないだろう。
王宮が近くなればなるほど、それだけ人の目も多くなる。
そして僕らは、キルディリアの人々にとっては、非常に目立つ格好をしている。
何故か。
それは、キルディリア人が当たり前のようにつけている魔導師証明書というものを、持っていないからである。
キルディリアの人々は、魔導師でも非魔導師でも関係なく、首からカードホルダーをぶら下げている。
銀色が一番多くて、次に多いのが青色。
たまに金色のカードや、オレンジのカードもちらほら見かける。
だけど、証明書を身に付けていない人は、一人も見かけなかった。
学院長や羽久曰く、証明書を身に付けていない人は、「青カード」…非魔導師と同じ扱いを受けるそうだ。
家に忘れてしまったとか、うっかりつけ忘れてただけでも、関係ない。
証明書がない=魔導師じゃない、とみなされるのだとか。
これは厄介だよね。
実際、僕は魔導師じゃないし。
「二人は魔導師だから、申請すれば証明書がもらえるだろうけど…僕は…」
残念ながら、「青カード」だろうね。
別に残念でも何でもないが。
「僕だって、『青カード』のようなものだよ。力魔法しか使えないし」
と、令月。
いや、力魔法が使えるだけで、充分魔導師と名乗って良いと思うけど。
「この中で、まともに魔法が使えるのは、『八千歳』だけだよ」
『八千歳』…すぐりのことだね。
「あはは。照れるなー。…って言っても、俺が得意なのは糸魔法や毒魔法や…暗殺に特化した魔法だけなんだけどねー」
それでも、魔法なんて使えない僕にとっては、羨ましいけど。
「それにさー、俺達はふほーにゅーこく者なんだから、わざわざキルディリアのルールに従う必要なんてなくない?」
…と、すぐり。
ふほーにゅーこく者…。不法入国者。
うん、その通りだね。
国境検問所、通ってないから。
「だけど、証明書がないと目立つのは事実だよ」
僕はここから、猫の姿に…いろりの姿に『変化』すれば。
人間じゃなく、ただの猫として潜入可能だけど。
令月とすぐりは、そうは行かない。
「大丈夫。ないなら作れば良い」
え?
令月は、背中に背負うようにして持ってきた、風呂敷包みの中に手を突っ込み。
キルディリア人がつけているのと、ほとんど同じ…よく似たカードホルダーを取り出した。
「あぁ、それ、俺も持ってきたんだー」
すぐりもまた、懐から、カードホルダーを取り出した。
…なければ、作れば良い…。
…成程。
まったく話が早いと言うか、テンポが良いと言うか。
僕は、二人の元暗殺者を先導しながら、道中何度か振り返り。
「疲れてない?休憩する?」と尋ねたが。
二人共、「必要ない」とすげなく答えるだけで。
しかも、本当にまったく疲れていないようで、感心した。
こんな人間、滅多にいるものじゃないよ。
どんな訓練を積んだら、この歳で、ここまでしっかりした人間に育つんだが。
逆に、あまり人間らしく見えないね。
今ばかりは、そのお陰で助かってるけど。
「…見えてきたね」
「そーだね」
出来るだけ人のいない、森林地帯や、裏道のような場所をこっそり通りながら。
ようやく、ファニレス市街に入ると。
遠目に見えていたクリスタルの王宮が、いよいよ間近に見えてきた。
ここまで来れば、人間である令月とすぐりでも、目視出来るだろう。
これまでずっと、人通りを避けてきたけれど。
ここから先は、そうは行かないだろう。
王宮が近くなればなるほど、それだけ人の目も多くなる。
そして僕らは、キルディリアの人々にとっては、非常に目立つ格好をしている。
何故か。
それは、キルディリア人が当たり前のようにつけている魔導師証明書というものを、持っていないからである。
キルディリアの人々は、魔導師でも非魔導師でも関係なく、首からカードホルダーをぶら下げている。
銀色が一番多くて、次に多いのが青色。
たまに金色のカードや、オレンジのカードもちらほら見かける。
だけど、証明書を身に付けていない人は、一人も見かけなかった。
学院長や羽久曰く、証明書を身に付けていない人は、「青カード」…非魔導師と同じ扱いを受けるそうだ。
家に忘れてしまったとか、うっかりつけ忘れてただけでも、関係ない。
証明書がない=魔導師じゃない、とみなされるのだとか。
これは厄介だよね。
実際、僕は魔導師じゃないし。
「二人は魔導師だから、申請すれば証明書がもらえるだろうけど…僕は…」
残念ながら、「青カード」だろうね。
別に残念でも何でもないが。
「僕だって、『青カード』のようなものだよ。力魔法しか使えないし」
と、令月。
いや、力魔法が使えるだけで、充分魔導師と名乗って良いと思うけど。
「この中で、まともに魔法が使えるのは、『八千歳』だけだよ」
『八千歳』…すぐりのことだね。
「あはは。照れるなー。…って言っても、俺が得意なのは糸魔法や毒魔法や…暗殺に特化した魔法だけなんだけどねー」
それでも、魔法なんて使えない僕にとっては、羨ましいけど。
「それにさー、俺達はふほーにゅーこく者なんだから、わざわざキルディリアのルールに従う必要なんてなくない?」
…と、すぐり。
ふほーにゅーこく者…。不法入国者。
うん、その通りだね。
国境検問所、通ってないから。
「だけど、証明書がないと目立つのは事実だよ」
僕はここから、猫の姿に…いろりの姿に『変化』すれば。
人間じゃなく、ただの猫として潜入可能だけど。
令月とすぐりは、そうは行かない。
「大丈夫。ないなら作れば良い」
え?
令月は、背中に背負うようにして持ってきた、風呂敷包みの中に手を突っ込み。
キルディリア人がつけているのと、ほとんど同じ…よく似たカードホルダーを取り出した。
「あぁ、それ、俺も持ってきたんだー」
すぐりもまた、懐から、カードホルダーを取り出した。
…なければ、作れば良い…。
…成程。