神殺しのクロノスタシス7〜後編〜

side羽久

ーーーーーー…帰り道も、マシュリタクシーに乗車して。

一気にひとっ飛びで、ルーデュニア聖王国に…イーニシュフェルト魔導学院に帰還した。

…毎度のことだが、マシュリタクシーに乗ると、どっと疲れる。

感謝はしてるんだけどな。

如何せん…乗り心地が。

「ほぇー。楽しかったねー」

「良かったな…」

好奇心一杯のベリクリーデは、ジェットコースター気分で楽しんでいたが。

「はぁ…はぁ…。足元が…足元がふらつく…」

お年を召して、心臓が弱くなったシルナは、足元が覚束ないようだった。

しょうがない。歳だからな。

「羽久が…私に失礼なことを考えてる、気がする…」

はいはい。転ぶなよ。

…で、こうして皆、無事に帰ってきた訳だが。

「なんだ。もう帰ってきたんですか」

というのが、帰ってきた俺達を見た、イレースの第一声である。

「なんだ」って。何だよ。

別に涙を流して喜んでくれ、とは言わないが。

せめてもうちょっと…。いや。

イレースの場合、この塩対応の方が、むしろ平常運転だな。

「誰かさん達がいない間に、学院の乱れた風紀を正す、良い機会だと思っていたのに…。残念です」

「…」

自分がいない間に、学内大改造が行われていたかもしれない、と想像したのか。

シルナは、青い顔になっていた。

早く帰ってこられて良かったな。

「おぉ、お帰り。皆の衆」

「元気そうで何よりですね」

と、キュレムとルイーシュが声をかけてきた。

…あれ?なんでお前ら、ここにいるんだ?

「キュレム…ルイーシュ。どうしたんだ?いつの間に学院に…」

「いえ、別にお気になさらず。ただの母校訪問なので」

あ、そう…。…別に良いけど。

好きな時に訪問してくれて良いぞ。

「で、どうなったんだ?戦争は?イシュメル女王は?ゲロ顔晒して国に帰ったか?」

と、尋ねるキュレム。

ゲロ顔って。

「ゲロ顔かどうかは知らないが…。…一応、平和は取り戻したぞ」

「へぇ、そうか。お疲れさん」

果たして、この状況を平和と言って良いのかどうかは、定かではないがな。

ただ問題を先延ばしにしただけで、まだ根本的なところは解決していない。

これから、イシュメル女王が…ナツキ様がどう動くか。

その判断如何によっては、再び何処かで、誰かが血を流すことになるかもしれない…。

「…良いんじゃないですか?今くらいは、手放しで喜んでも」

俺の、心の中を読んで察したのか。

ナジュが、そう声をかけてきた。

「やれることは、全部やりましたよ、僕達は。だったらこの先、どうなったとしても…きっと、後悔はしないでしょう」

「ナジュ…」

「例え束の間でも、今の平和を喜びましょう?」

「…。…そう、だな」

これから先、どうなったとしても…やれることは全部やったのだから、後悔はしない。

だから、今は今の平和を喜ぶべき。

その通り。…ナジュの言う通りだ。

何より、こうして…みんな、誰一人欠けずに、無事に戻ってこられたのだから。

それ以上に大切なことなんて、きっと何処にもない。

例えそれが、束の間の平穏に過ぎないのだとしても。
















END
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