神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「では、どうぞごゆっくりお召し上がりください」

すべてのお皿を並べ終えて、メイドさん達は再度、深々とお辞儀をして退室していった。

…。

残された俺は、テーブルの上を引き気味に眺めていた。

三つもの大きな籠の中に、小さいトーストやクロワッサンやフランスパンや、様々な種類のパンが入っている。

そのパンにつける為のジャム、バター、ハチミツなども各種揃っており。

スープもそれぞれ、一人ずつに3種類。

一つはクリームスープっぽい。もう一つはコンソメと…もう一つは何だコレ?緑色のポタージュみたいな。

そして、サラダは4種類。どれも一口〜二口程度の量が、ちまっ、と並んでいる。

更に厚切りのベーコン、数種類のソーセージ、ローストビーフやローストチキン。

卵料理も豊富で、スクランブルエッグにポーチドエッグ、オムレツにゆで卵など。

極めつけは、フルーツのお皿。

何種類ものフルーツが、美しくカットされて、浅いボウルみたいなお皿に盛られていた。

芸術作品みたい。

ベリーソースをかけたヨーグルト、生クリームを添えたプリンや、プチシュークリームなどのデザートも豊富。

…圧巻。

圧巻だぜ、これは。

こんな豪華なモーニングメニュー、見たことがない。

「やべぇよ…。どうしたら良いんだ、これ…」

「別に…。食べたら良いんじゃないですか?」

とか言いながら、ルイーシュは早速、焼きたてのクロワッサンに手を伸ばし。

もぐもぐぱりぱりと、平然と食べていた。

お前は余裕だな。

「どう?美味い?」

「うん、永遠に食べ続けられそうですよ」

「マジか…」

俺は、再度テーブルの上の豪華な朝食を見下ろした。

…多分これ、見た目だけじゃなくて、素材も凄くこだわってるんだろうな。

カトラリーも、どれもぴかぴかに磨き上げられた立派なものだ。

王室のモーニングパーティーに招かれたみたいな気分。

何だか、申し訳なくなるよな。

俺、舌が貧乏だからさ。

こんな立派な、豪華で高価な料理を出されても、いまいち美味しさがよく分からないんだよ。

何処ぞのシェフのオススメ料理より、コンビニに売ってるおにぎりの方が美味しい、みたいな。

貧乏な上に、馬鹿舌だから。

見ているだけで、気後れしてしまいそうな料理の数々だが…。

「…残すのも勿体ないし、食べるか…」

「これって、ランチもこんな風に作ってくれるんですかね?」

「うわぁ…。無理無理。朝飯でこのレベルなんだぜ?昼飯となったら、どうなることか…」

恐ろしい。豪華過ぎて、むしろ恐ろしいよ。

そして、畏れ多い。

「朝飯は、何とか食べるけど…昼はパスしよう」

「用意しなくて良いですよ、って後で言っておきましょうか」

「そうだな…。城下町を観光して良いって言ってたし、外に買いに行くか…」

情報収集も兼ねてな。

…ちなみに、豪華な朝食は、びっくりするくらい美味しかった。

けど、やっぱり俺には勿体ない気がするよ。
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