神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「一般の飲食店は、『青カード』は立ち入り禁止なので。許可証のある店でないと…」

立ち入り禁止だと?

何それ?その勝手過ぎるルールは。

誰でも良いじゃん。同じお金を払ってるなら。

「…。…じゃあ、その食堂は、魔導師は入れないんですか」

「いえ…。魔導師は、特に規定はされていません」

余計に、何それ?

『青カード』…非魔導師は、許可証のある食堂にしか入れないけど。

魔導師は、原則どのお店でも、好きなように入れる。

意味不明なルールだ。

「ですが…。『青カード』の食堂に食事に行く魔導師なんて、まずいませんよ。ああいう店は、『青カード』の溜まり場ですし…。提供される食事や、サービスの質も悪いし…」

「…」

「それに何より、『青カード』と同じ場所で、同じ食事をするなんて…。私だったら、とても耐えられませんよ」

…知るかよ。お前の意見なんて。

「その食堂で提供されていたお粥というのは、多分、我が国の国民食の雑穀粥のことでしょう。美味しいものではありませんよ」

お前は今、全国の雑穀粥好きな人を敵に回した。

良いじゃん、雑穀粥。美味いじゃん。健康にも良いし。

それなのに、案内人は得意げに、ディスるディスる。

「雑穀粥が国民食なんですか。キルディリア魔王国では」

と、尋ねるルイーシュ。

「『青カード』共は魔力が使えない上、身体が脆弱なので。必要な栄養を、手っ取り早く摂る為に開発された食べ物です」

栄養価とコストだけを重視して作られた、国民食。

…家畜みたいだ、と思った。

味や品質じゃなくて、ただ、腹を満たし、栄養を摂らせる為に、家畜にエサを与えるように。

つまり、あのお店にいた人々は。

好き好んで、あの雑穀粥を食べていた訳じゃなくて。

あのお店にしか入ることが出来ないから。そして、そのお店では「国民食」のお粥しか与えられないから。

それしか食べるものがないから、仕方なく、食べていただけだったのだ。
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