豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「何これ!? いつ撮ったのよ!!」

 画面には情事の跡を色濃く残した自分の寝顔が写っていた。ギリギリ胸から下は見えていないものの、首から胸元にかけて残された鬱血痕は、見る人が見れば情事の後だと分かってしまう。
 無理矢理スマホを奪い必死で消去ボタンを押す私を嘲笑うように無情な言葉が降り注ぐ。

「スマホにしかデータ残してないと思ってんの? こんな記念すべき一枚、あらゆる所に保存しているに決まってんじゃん。いつでも先輩を愛でられるようにね」

 頭を鈍器で殴られたような衝撃に、頭が真っ白になる。へたり込んでしまった私に視線を合わせ悪魔がささやく。

「鈴香先輩……、俺の話分かりましたか? 貴方に拒否権はないんです」

「何をさせる気よ……」

「別に何もしませんよ。ただ、俺の彼女になってください。いや違うか……、俺の傷ついた自尊心を満たしてくれる彼女になってくれますか?」

 頷くしかなかった。
 写真という人質を取られている以上、私に拒否権はない。
 罰なのだろう。
 寂しさを紛らわせるために、男の欲望を煽《あお》った私への罰なのだろう。

「くくっ、じゃあ……、契約のキスしてくれるよね?」

「……最低」

 軽く重ねたキスが深く深く交わる。

「屈辱に濡れたその瞳。大好きだよ、鈴香……」
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