豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
私の名前は冬野鈴香《ふゆのすずか》。製薬企業に勤める二十九歳のOL。お察しの通り、クリスマスのこの日、目出度く三十歳を迎える。
この日の為に買った黒のワンピースを着て、脚元はスパンコールがキラキラ輝く黒のピンヒールのパンプスを履く。胸元で輝く一粒ダイヤのネックレスは彼からのプレゼントだった。付き合い出して初めての誕生日、彼も背伸びをしていたのだと今なら分かる。
あれから十年、色々な事があった。彼の浮気が発覚し別れを切り出したこともあったが、必死で謝る彼に絆され、関係を続ける決心をした。社交的で交友関係も広かった彼とは、価値観の違いで何度も何度も喧嘩になった。でも、決まって最後は謝ってくれた。自分の非を認めて、謝る事が出来る彼を尊敬していた。
いつか彼と結婚したいと本気で思っていた。
その想いが今日実を結ぶ。
仕事が忙しいと連絡が来なかったのも、今日の日の為に仕事を調整していたからなのだ。
営業職で忙しい彼の事だ。電話すら出来ない程、仕事を詰め込んでいたのだろう。あまりの連絡の無さに浮気を疑っていたなんて、彼に申し訳ない。
最高の誕生日になる。そんな想いを胸にエントランスを飛び出す。
「雪……」
手の平に落ちた雪を見つめ、空を見上げる。
ホワイトクリスマス……
きっとこの日を忘れない。
雪を見るたび想い出す。三十歳の特別な誕生日の事を。
この日の為に買った黒のワンピースを着て、脚元はスパンコールがキラキラ輝く黒のピンヒールのパンプスを履く。胸元で輝く一粒ダイヤのネックレスは彼からのプレゼントだった。付き合い出して初めての誕生日、彼も背伸びをしていたのだと今なら分かる。
あれから十年、色々な事があった。彼の浮気が発覚し別れを切り出したこともあったが、必死で謝る彼に絆され、関係を続ける決心をした。社交的で交友関係も広かった彼とは、価値観の違いで何度も何度も喧嘩になった。でも、決まって最後は謝ってくれた。自分の非を認めて、謝る事が出来る彼を尊敬していた。
いつか彼と結婚したいと本気で思っていた。
その想いが今日実を結ぶ。
仕事が忙しいと連絡が来なかったのも、今日の日の為に仕事を調整していたからなのだ。
営業職で忙しい彼の事だ。電話すら出来ない程、仕事を詰め込んでいたのだろう。あまりの連絡の無さに浮気を疑っていたなんて、彼に申し訳ない。
最高の誕生日になる。そんな想いを胸にエントランスを飛び出す。
「雪……」
手の平に落ちた雪を見つめ、空を見上げる。
ホワイトクリスマス……
きっとこの日を忘れない。
雪を見るたび想い出す。三十歳の特別な誕生日の事を。