豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「えっと、なんか腑に落ちないんですけど……」
「はははっ、本当は一緒に住むの断ろうとしてたでしょ? 真面目な性格の鈴香が、何の準備もしてないなんて、同居するつもりがあれば有り得ない事でしょ。だから、逃げられないようにした。もう、車に乗っちゃったし諦めなね」
「……強引なんですけど」
「昨日、了承したのは鈴香でしょ。一度交わした約束を破るのは大人としてどうかと思うよ」
「うっ、そんな事思ってないもん」
七歳も歳下の男に、ワガママな子供をなだめるように諭され恥ずかしくなる。
「なら、俺と一緒に暮らすのに異論はないよね?」
「はい、ありません。お世話になります」
「素直でよろしい、鈴香ちゃん」
「もぅ!! 子供扱いしないでよ!」
軽やかに車を走らせる橘の横顔をキッと睨むが、前を向きクスクスと笑う奴は全く動じない。
「ははっ! 往生際が悪いんだよ。まぁ、そんな所も可愛いだけだけど」
「なっ!………」
サラッと言われた可愛いの一言に、みるみる頬が熱くなっていく。
「耳まで赤くなってるけど……。本当、そういうとこも可愛いよな」
スルッと耳を撫でられ、肩がビクッと震える。首をすくめ振り向けば、隣に座る彼と目が合い、心臓が激しく高鳴り出す。
赤信号で止まった一瞬だった。
唇に感じた熱が、車が動き出すと同時に離れていく。
「嫌がることはしないって言った」
「キス、嫌だったの?」
「そんなこと……」
嫌とは言えなかった。
少し意地悪だけど優しさが見え隠れする言葉と行動を取られる度に、橘の存在が心の中で大きくなっていく。
上辺だけではない言葉の数々が、私の性格や考え方、生き方まで理解した上で口にしているものだと分かるから余計にタチが悪い。
橘はいつから私を見ていたのだろうか?
『何をしていても、誰と一緒にいても考えるのは鈴香のことばかり。自尊心がどうとか、勝ち負けがどうとか、そんなのどうでもいい。会いたい、話したい、時間を共有したい、一緒にいたい、ただそれだけなんだ……』
恋人ごっこを終わらせたあの日、橘が言った言葉は本心だったのかもしれない。彼の内面を知る度に、少しずつ傾いていく心を認めるしかなかった。
「はははっ、本当は一緒に住むの断ろうとしてたでしょ? 真面目な性格の鈴香が、何の準備もしてないなんて、同居するつもりがあれば有り得ない事でしょ。だから、逃げられないようにした。もう、車に乗っちゃったし諦めなね」
「……強引なんですけど」
「昨日、了承したのは鈴香でしょ。一度交わした約束を破るのは大人としてどうかと思うよ」
「うっ、そんな事思ってないもん」
七歳も歳下の男に、ワガママな子供をなだめるように諭され恥ずかしくなる。
「なら、俺と一緒に暮らすのに異論はないよね?」
「はい、ありません。お世話になります」
「素直でよろしい、鈴香ちゃん」
「もぅ!! 子供扱いしないでよ!」
軽やかに車を走らせる橘の横顔をキッと睨むが、前を向きクスクスと笑う奴は全く動じない。
「ははっ! 往生際が悪いんだよ。まぁ、そんな所も可愛いだけだけど」
「なっ!………」
サラッと言われた可愛いの一言に、みるみる頬が熱くなっていく。
「耳まで赤くなってるけど……。本当、そういうとこも可愛いよな」
スルッと耳を撫でられ、肩がビクッと震える。首をすくめ振り向けば、隣に座る彼と目が合い、心臓が激しく高鳴り出す。
赤信号で止まった一瞬だった。
唇に感じた熱が、車が動き出すと同時に離れていく。
「嫌がることはしないって言った」
「キス、嫌だったの?」
「そんなこと……」
嫌とは言えなかった。
少し意地悪だけど優しさが見え隠れする言葉と行動を取られる度に、橘の存在が心の中で大きくなっていく。
上辺だけではない言葉の数々が、私の性格や考え方、生き方まで理解した上で口にしているものだと分かるから余計にタチが悪い。
橘はいつから私を見ていたのだろうか?
『何をしていても、誰と一緒にいても考えるのは鈴香のことばかり。自尊心がどうとか、勝ち負けがどうとか、そんなのどうでもいい。会いたい、話したい、時間を共有したい、一緒にいたい、ただそれだけなんだ……』
恋人ごっこを終わらせたあの日、橘が言った言葉は本心だったのかもしれない。彼の内面を知る度に、少しずつ傾いていく心を認めるしかなかった。