豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「だから、何だって言うの? 確かに、今私は橘君と同居しているわ。それは、お互いの利害が一致しただけ。そこに恋愛感情はない。彼が、元彼女とどうなろうが、私には関係ない」
言葉を紡げば紡ぐほど、心はえぐられジクジクと痛む。ただ、橘の心に私がいないとわかった以上、追い縋ったところで、より自分が傷つくだけだ。
『好きだ』と叫ぶ心を無視して、話は終わりとばかりに、伝票をつかみ立ち上がった私の手がつかまれた。
「冬野先輩は、本当にそれでいいんですか? ずっと私、橘君を見て来ました。だから、わかります。彼の心に誰がいるかなんて。確かに、橘君の心には冬野先輩がいました。でも、今、あの女が現れて揺らいでいる。このまま、あの女に橘君を奪われてしまっていいんですか?」
伝票を持った手が麻里奈ちゃんにキュっと握られ、身動きが取れない。このまま彼女の手を振り払って立ち去った方がいいと、頭の中で警鐘が鳴る。でも、彼女の言葉に足が動かない。
「吉瀬美沙江は、残酷な人です。清楚な仮面の下に残忍な顔を隠している。自分勝手で、橘君の気持ちなんて考えていない。きっと今回現れたのだって何か裏があるんです。そんな女に橘君を奪われてもいいんですか!?」
麻里奈ちゃんの言葉を聞くな、耳を塞げと頭の中で叫ぶ声がする。どうすることも出来ず立ち尽くす私に焦れたのか、麻里奈ちゃんは立ち上がると伝票をひったくる。
「残念ですが、私じゃダメなんです。だから、どうかお願いです。橘君がこれ以上傷つかないように……、あの女から橘君を奪えるのは冬野先輩だけなんです」
ガバッと頭を下げた麻里奈ちゃんが立ち去る。
「わたしに、どうしろって言うのよ……」
ソファへと力なく落ち一人呟いた言葉は、店内の雑音にかき消された。
言葉を紡げば紡ぐほど、心はえぐられジクジクと痛む。ただ、橘の心に私がいないとわかった以上、追い縋ったところで、より自分が傷つくだけだ。
『好きだ』と叫ぶ心を無視して、話は終わりとばかりに、伝票をつかみ立ち上がった私の手がつかまれた。
「冬野先輩は、本当にそれでいいんですか? ずっと私、橘君を見て来ました。だから、わかります。彼の心に誰がいるかなんて。確かに、橘君の心には冬野先輩がいました。でも、今、あの女が現れて揺らいでいる。このまま、あの女に橘君を奪われてしまっていいんですか?」
伝票を持った手が麻里奈ちゃんにキュっと握られ、身動きが取れない。このまま彼女の手を振り払って立ち去った方がいいと、頭の中で警鐘が鳴る。でも、彼女の言葉に足が動かない。
「吉瀬美沙江は、残酷な人です。清楚な仮面の下に残忍な顔を隠している。自分勝手で、橘君の気持ちなんて考えていない。きっと今回現れたのだって何か裏があるんです。そんな女に橘君を奪われてもいいんですか!?」
麻里奈ちゃんの言葉を聞くな、耳を塞げと頭の中で叫ぶ声がする。どうすることも出来ず立ち尽くす私に焦れたのか、麻里奈ちゃんは立ち上がると伝票をひったくる。
「残念ですが、私じゃダメなんです。だから、どうかお願いです。橘君がこれ以上傷つかないように……、あの女から橘君を奪えるのは冬野先輩だけなんです」
ガバッと頭を下げた麻里奈ちゃんが立ち去る。
「わたしに、どうしろって言うのよ……」
ソファへと力なく落ち一人呟いた言葉は、店内の雑音にかき消された。