豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「クリスマスイブにヤケ酒に走る女の話なんて聞きたくもないと思う。ただ、聞いてくれるだけでいいの。ダメかな?」
「貴方が話したいのなら話せばいい。俺は聞く事しか出来ないけど……」
「ありがとう。私ね、今日誕生日なんだ。クリスマスイブが誕生日って昔から良い思い出なんてないけど、本当今日は最悪だった。ホテルで、彼と待ち合わせてレストランでディナーをして、きっとそのホテルに彼と一緒に泊まる筈だった。でもね別れちゃったのよ。現れた彼は若い可愛らしい女を連れていた。それはもうお肌ピチピチの可愛らしい女よ。直ぐ浮気相手だって思った。でも、彼を信じたかった。十年も付き合って、やっと三十歳の誕生日にプロポーズしてくれる気になったんだって思っていたんだもの。人生で最高の誕生日になると本気で思ってたのよ。まさか、誕生日当日に浮気相手を伴って、別れを告げるなんて思わないじゃない。だから信じたかった。でも振られちゃった。馬鹿みたいよね……」
ひと筋涙が頬を伝う。
別れを告げられた時は泣けなかったのに、なんで今更涙が出てくるのだろうか。
後から後から流れ出した涙に耐えきれず、カウンターに突っ伏した私は嗚咽を堪えるのに必死だった。
「彼が浮気性だって、ずっと気づいてたのに。女の影があった事なんて一度や二度じゃ無いのにね。でも、信じたかった。初めての彼で、何もかも彼が初めてで。全ての想い出が愛しくて……」
彼の事が大好きだった。
十年間の想い出が走馬灯の様に脳裏を流れていく。
真っ赤な顔をして告白してくれた日。
公園デートの帰り道、初めてキスをした。優しく触れるだけのキスが物足りなくて抱きついてしまったこと。
彼の家での初めてのお泊まり。緊張でガチガチの私を気遣い、何もせず抱き締めて眠ってくれたこと。
二人で過ごす初めてのクリスマス。誕生日プレゼントにダイヤのネックレスを贈ってくれた。『頑張っちゃった』と笑う彼が愛しくて堪らなかった。
初めて結ばれた夜。
喧嘩も沢山した。何回も彼が信じられなくなった。何度も別れようと思った。
でも別れられなかった。
本気で愛していたから……
「……っ!?」
肩を震わせ泣き続ける私の頭に置かれた温もり。
「泣きたいだけ泣けばいい」
ただ一言告げられた言葉が心に染みる。
血を流す心に突き刺さった矢が涙と一緒に流れていく。
「貴方が話したいのなら話せばいい。俺は聞く事しか出来ないけど……」
「ありがとう。私ね、今日誕生日なんだ。クリスマスイブが誕生日って昔から良い思い出なんてないけど、本当今日は最悪だった。ホテルで、彼と待ち合わせてレストランでディナーをして、きっとそのホテルに彼と一緒に泊まる筈だった。でもね別れちゃったのよ。現れた彼は若い可愛らしい女を連れていた。それはもうお肌ピチピチの可愛らしい女よ。直ぐ浮気相手だって思った。でも、彼を信じたかった。十年も付き合って、やっと三十歳の誕生日にプロポーズしてくれる気になったんだって思っていたんだもの。人生で最高の誕生日になると本気で思ってたのよ。まさか、誕生日当日に浮気相手を伴って、別れを告げるなんて思わないじゃない。だから信じたかった。でも振られちゃった。馬鹿みたいよね……」
ひと筋涙が頬を伝う。
別れを告げられた時は泣けなかったのに、なんで今更涙が出てくるのだろうか。
後から後から流れ出した涙に耐えきれず、カウンターに突っ伏した私は嗚咽を堪えるのに必死だった。
「彼が浮気性だって、ずっと気づいてたのに。女の影があった事なんて一度や二度じゃ無いのにね。でも、信じたかった。初めての彼で、何もかも彼が初めてで。全ての想い出が愛しくて……」
彼の事が大好きだった。
十年間の想い出が走馬灯の様に脳裏を流れていく。
真っ赤な顔をして告白してくれた日。
公園デートの帰り道、初めてキスをした。優しく触れるだけのキスが物足りなくて抱きついてしまったこと。
彼の家での初めてのお泊まり。緊張でガチガチの私を気遣い、何もせず抱き締めて眠ってくれたこと。
二人で過ごす初めてのクリスマス。誕生日プレゼントにダイヤのネックレスを贈ってくれた。『頑張っちゃった』と笑う彼が愛しくて堪らなかった。
初めて結ばれた夜。
喧嘩も沢山した。何回も彼が信じられなくなった。何度も別れようと思った。
でも別れられなかった。
本気で愛していたから……
「……っ!?」
肩を震わせ泣き続ける私の頭に置かれた温もり。
「泣きたいだけ泣けばいい」
ただ一言告げられた言葉が心に染みる。
血を流す心に突き刺さった矢が涙と一緒に流れていく。