大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
「だいたいそのひとは、よき主婦を求めてるんでしょう? わたしなんて対極じゃない。不規則な生活だし、家事だって休みの日にまとめてやってるくらいで……お呼びじゃないよ」
「いや、息子とおなじ業界の女性のほうが理解があるからいいとおっしゃるんだ。僕はそれでママに苦労をかけたから、うなずける部分もあってね」
母はメーカーで営業職をしていたOLだった。父と結婚して専業主婦になったが、業界に詳しくない母は苦労したと聞く。
その苦労の多くは、この父が無自覚に女性を惹きつけていたことに起因していたそうだが。
「それに、その息子さんは親の欲目を抜きにしても、かなり優秀らしいんだ。パイロット養成の訓練をトップの成績で通過して副操縦士デビューしたのち、二十九歳で機長昇格訓練開始が噂されているらしい」
エアプラス社の自社養成パイロットは、アメリカで訓練を受ける。
訓練は過酷で、ひとつひとつの過程で一度でも不合格となればパイロットにはなれない。
しかも、その免許は飛行機の機種ごとに取得する必要があり、たとえばB737の型式限定ではおなじボーイング社製であってもB747を操縦することはできない。
エアプラス社ではまず、パイロットはB737の型式限定を取得してデビューする。その後、業務と並行してほかの機種の型式限定を取得するための訓練を行なっていくのだ。
つまりそのパイロットは優秀どころではなく、エリートそのもの。
「パパは、そのひとを義息子にしたいと思ってるのね?」
娘に期待したパイロットの肩書きが、望めなくなった代わりに。という言葉を美空はのみこむ。自分が惨めな気分になるだけだ。
父はそんな美空の内心に気づいた様子もなく、無邪気にはにかんだ。
「いや、息子とおなじ業界の女性のほうが理解があるからいいとおっしゃるんだ。僕はそれでママに苦労をかけたから、うなずける部分もあってね」
母はメーカーで営業職をしていたOLだった。父と結婚して専業主婦になったが、業界に詳しくない母は苦労したと聞く。
その苦労の多くは、この父が無自覚に女性を惹きつけていたことに起因していたそうだが。
「それに、その息子さんは親の欲目を抜きにしても、かなり優秀らしいんだ。パイロット養成の訓練をトップの成績で通過して副操縦士デビューしたのち、二十九歳で機長昇格訓練開始が噂されているらしい」
エアプラス社の自社養成パイロットは、アメリカで訓練を受ける。
訓練は過酷で、ひとつひとつの過程で一度でも不合格となればパイロットにはなれない。
しかも、その免許は飛行機の機種ごとに取得する必要があり、たとえばB737の型式限定ではおなじボーイング社製であってもB747を操縦することはできない。
エアプラス社ではまず、パイロットはB737の型式限定を取得してデビューする。その後、業務と並行してほかの機種の型式限定を取得するための訓練を行なっていくのだ。
つまりそのパイロットは優秀どころではなく、エリートそのもの。
「パパは、そのひとを義息子にしたいと思ってるのね?」
娘に期待したパイロットの肩書きが、望めなくなった代わりに。という言葉を美空はのみこむ。自分が惨めな気分になるだけだ。
父はそんな美空の内心に気づいた様子もなく、無邪気にはにかんだ。