大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
「肯定的な理由ですからご心配なく。すぐすみます」
周りに釈明しながらアジア路線担当の席が並ぶ一角に近づくと、向こうも気づいたようだった。
話の内容を考えると外に連れ出すべきかと思ったが、瀧上は自席を離れる気がなさそうだ。
目が合いながらあえて椅子の背にもたれたところを見るに、業務のためというよりは、朋也に対して自分が優位だと周りに誇示する意図が感じられる。
「業務中お邪魔します」
朋也としても、それならそれでかまわなかった。
長話をする気もない。瀧上の正面に立つと、単刀直入に切り出した。
「木崎さんと連絡が取りたい。彼女の勤務予定を教えてください」
「沖形さん、先日の忠告をお忘れですか? 彼女にこれ以上ちょっかいをかけるなとお話ししたでしょう」
「ちょっかい? とんでもない。俺は極めて誠実に彼女と向き合いたいと思っているだけです。だから、あなたが彼女の恋人だと承知の上でお願いしています。少しでいい、彼女と話をさせてください」
頭を下げた朋也が顔を上げると、瀧上の目が泳いでいた。
隣の若手は驚愕に目をみはり、朋也と瀧上を見比べている。朋也は首をひねった。
(なぜ瀧上は狼狽した……?)
恋人なら堂々とすればいい。彼女の好意をものにしているなら、うろたえる必要などない。
話さえままならず余裕のなさを露呈するばかりの朋也とは、立場が違うはずではないか。
ふと、ある予感が胸に湧く。
確証はない。だが、その予感は、勇み足をたしなめるまもなく膨らんでいく。ひょっとしてこの男は――。
周りに釈明しながらアジア路線担当の席が並ぶ一角に近づくと、向こうも気づいたようだった。
話の内容を考えると外に連れ出すべきかと思ったが、瀧上は自席を離れる気がなさそうだ。
目が合いながらあえて椅子の背にもたれたところを見るに、業務のためというよりは、朋也に対して自分が優位だと周りに誇示する意図が感じられる。
「業務中お邪魔します」
朋也としても、それならそれでかまわなかった。
長話をする気もない。瀧上の正面に立つと、単刀直入に切り出した。
「木崎さんと連絡が取りたい。彼女の勤務予定を教えてください」
「沖形さん、先日の忠告をお忘れですか? 彼女にこれ以上ちょっかいをかけるなとお話ししたでしょう」
「ちょっかい? とんでもない。俺は極めて誠実に彼女と向き合いたいと思っているだけです。だから、あなたが彼女の恋人だと承知の上でお願いしています。少しでいい、彼女と話をさせてください」
頭を下げた朋也が顔を上げると、瀧上の目が泳いでいた。
隣の若手は驚愕に目をみはり、朋也と瀧上を見比べている。朋也は首をひねった。
(なぜ瀧上は狼狽した……?)
恋人なら堂々とすればいい。彼女の好意をものにしているなら、うろたえる必要などない。
話さえままならず余裕のなさを露呈するばかりの朋也とは、立場が違うはずではないか。
ふと、ある予感が胸に湧く。
確証はない。だが、その予感は、勇み足をたしなめるまもなく膨らんでいく。ひょっとしてこの男は――。