大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
「彼は関係ない。俺が来たくて来ただけだよ。それより腹が減っていない?」
美空は首をかしげた。瀧上に頼まれる以外に、朋也が美空の看病をする理由がない。とはいえ、体調管理にもっとも気を遣うパイロットに、瀧上が看病を頼むというのも考えにくいことではあったが。
朋也の手には粥の入った椀がある。白い湯気とほんのりと優しい香りに、胃腸が動いた。
「卵とネギを入れただけだけど」
「そんな、じゅうぶんです。美味しそう……いただきます」
香りと同様、粥は優しい味がした。凝った心がじわりとほぐれていく。
ひとりのときに感じていた心細さが、いつのまにか消えていく。
あっというまに食べ終えると、朋也がお代わりをよそってきてくれる。美空はそれもありがたく完食し「ご馳走さまでした」と手を合わせた。
「顔色もだいぶよくなったね。ひと安心だ。薬も買ってきたから飲んで。落ち着いたら、医者も行こう」
渡された水で薬を飲み下すと、朋也が自身のカーディガンを美空の肩にかけてくれる。
カーディガンからは、かすかに朋也の香りがした。彼の腕に包みこまれたみたいで、ふいに胸が甘く締めつけられる。
美空は水の入ったグラスを両手で包むようにして、朋也を見あげた。
「あの……沖形さん。やっぱりふしぎです。どうしてここまでしてくださるんですか……?」
美空が知る限り、朋也は他人との馴れ合いを好まない人間だったはずだ。
しかも彼にとって美空は、最近知り合ったばかりの同僚だ。強いて言うなら縁談相手だったが、縁談はとうに断った上、さして親しくなったわけでもない。
その上、先日の一件もある。
どう考えても、かいがいしく世話を焼かれる理由がない。困惑する美空を、朋也が目線でたしなめた。
「それは美空が、俺のいないところで倒れたからだよね」
美空は首をかしげた。瀧上に頼まれる以外に、朋也が美空の看病をする理由がない。とはいえ、体調管理にもっとも気を遣うパイロットに、瀧上が看病を頼むというのも考えにくいことではあったが。
朋也の手には粥の入った椀がある。白い湯気とほんのりと優しい香りに、胃腸が動いた。
「卵とネギを入れただけだけど」
「そんな、じゅうぶんです。美味しそう……いただきます」
香りと同様、粥は優しい味がした。凝った心がじわりとほぐれていく。
ひとりのときに感じていた心細さが、いつのまにか消えていく。
あっというまに食べ終えると、朋也がお代わりをよそってきてくれる。美空はそれもありがたく完食し「ご馳走さまでした」と手を合わせた。
「顔色もだいぶよくなったね。ひと安心だ。薬も買ってきたから飲んで。落ち着いたら、医者も行こう」
渡された水で薬を飲み下すと、朋也が自身のカーディガンを美空の肩にかけてくれる。
カーディガンからは、かすかに朋也の香りがした。彼の腕に包みこまれたみたいで、ふいに胸が甘く締めつけられる。
美空は水の入ったグラスを両手で包むようにして、朋也を見あげた。
「あの……沖形さん。やっぱりふしぎです。どうしてここまでしてくださるんですか……?」
美空が知る限り、朋也は他人との馴れ合いを好まない人間だったはずだ。
しかも彼にとって美空は、最近知り合ったばかりの同僚だ。強いて言うなら縁談相手だったが、縁談はとうに断った上、さして親しくなったわけでもない。
その上、先日の一件もある。
どう考えても、かいがいしく世話を焼かれる理由がない。困惑する美空を、朋也が目線でたしなめた。
「それは美空が、俺のいないところで倒れたからだよね」