お と な り
透明のレンズの向こうがわにツンと澄ました白い顔。
あーもう、なに来てんのよ。
思いながら鍵を開ける。
「こまります」
すみやかに扉を開けてそう告げると。
「なにこれ? 開けてよ」
掛けられたドアチェーンを見て、隣人が不満げに一言。
王さまのように凛とした、あ、け、て、と再度口にする隣人の結城。
いやいや、だれが開けるか。
「結城さん、なんの御用ですか?」
「これ開けてくれないと話せない」
開けないと話せない用ってなに?
べつに、さらっと話してくれればいいのに。
ていうか、こんなとこ、万が一にも涼くんに見られでもしたら困る。
「……わかりました。開けるのでどうか手短に」
言うと隣人は口角をゆるっと持ち上げる。
ちゃんとわかってるのかな?
はー、憂鬱なんだけど。
「――で、なんの用ですか?」
「これ」
「――――!」
「わすれもの」
そう言ってかかげられた真っ白なそれはわたしの――
「ブラジャー」
「――!?」
目を丸くして慌てて結城の口を塞いだ。
こいつ、なにを堂々と……!?
だれかに聞かれでもしたらどうするのよ!