もう一度 恋をするなら
「あ。昨日から教育入院の小田英子さんですけど、寝苦しかったそうで深夜の巡回の時にまだ起きてましたよ」
「そうなの? どこか体調が?」
「暑くて寝苦しかったそうです。汗が気持ち悪い~って笑ってらしたので元気そうでしたけど、熱は一応。異常なしです」
「そっか……小田さん、普段から何か飲んでた?」
「眠剤とかですか? 特に聞いてないです。うちからは処方してないですね。いつも眠りが浅いから、とは言ってました」

 小田さんは糖尿病の患者さんで、昨日から教育入院した五十代の女性だ。入院初日だから気を張って余計に眠れなかったのかもしれない。
 生活習慣改善のための教育入院なので、食事管理や運動管理も今日から始まる。身体を動かして夜もしっかり眠れるよう改善してくれればよいけれど、少し気になるところだ。

「うん……わかった。後で声かけて聞いてみるね」

 他にもいくつかの引き継ぎ内容を確認して、朝礼の時間になった。


 病棟勤務は日勤と準夜勤、夜勤の三交代制だ。私は今日から三日間、日勤が続く。午前の勤務は入院患者さんの体調チェックや点滴、薬品の管理を一通り、午後からは回診の他に検査が多くなるので忙しくなってくる。もちろん、午前中にも検査や手術はあるけれど、外来患者が減る午後からの方が多く予約が入っているのだ。
 十一時からは準夜勤の看護師や助手が出勤してくるので、その時間帯にも簡単な申し送りの時間を作り日勤の者が交代で何人かずつ交代で昼休憩へと向かう。

「今井さん、休憩行きましょう。今の内です、早く!」


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