[慶智の王子・西園寺京の物語]ラブストーリーは一夜の過ちから始まる〜アラフォー男と三十路女の拗らせ恋愛〜
第4章: 一月三舟(いちげつさんしゅう): 言葉足らず
真帆子
正社員として働き始めたばかりなのに、私は早くも会社に迷惑をかけてしまった。今の職場・伊乃国屋だけでなく、前の平井フーズにまで。
きっかけは、平井フーズ時代の残業中に、研二から押し付けられたプレゼン資料だった。疲れていた私は気づかないまま、資料のフッターに自分の名前を入力してしまっていたのだ。
本来その仕事は、営業第2課の白川麗華さんの担当だった。彼女は資料作成が苦手で、終業間際になると、研二が決まって私の机に作りかけの資料を持ち込んできた。
今回、提出先が伊乃国屋で、営業担当が研二だと聞き、私は言葉を失った。しかも、資料の中身すらろくに確認せずに提出したというのだから、呆れるしかない。
さらに白川さんが、『あの資料は自分で作った』と言い切ったと聞き、頭が真っ白になった。
この件は平井フーズの上層部まで波及したが、私へのお咎めはなかった。それどころか、会社から謝罪を受けることになった。
かつてお世話になった営業部長が頭を下げる姿に、胸が痛んだ。
結局、平井フーズとの契約は白紙になった。それが正しい判断だと、頭では分かっている。……分かっているけれど。
ただ、友人の恵子から、西園寺社長が代わりにホテル9(クー)とカフェBon Bonを紹介し、そちらと新たな契約が決まったと聞いた。
一般社員の私に、詳しいことは分からない。けれど、お世話になった会社が新たな取引先と繋がったと知り、ホッとした。
その後、弁護士の伊集院先生から連絡があった。慰謝料は二人の給料から差し引かれ、さらに接近禁止令も発令されたという。
ようやく、胸の息苦しさを感じなくなった。――まだ少し、怖さは残っていたけれど。
きっかけは、平井フーズ時代の残業中に、研二から押し付けられたプレゼン資料だった。疲れていた私は気づかないまま、資料のフッターに自分の名前を入力してしまっていたのだ。
本来その仕事は、営業第2課の白川麗華さんの担当だった。彼女は資料作成が苦手で、終業間際になると、研二が決まって私の机に作りかけの資料を持ち込んできた。
今回、提出先が伊乃国屋で、営業担当が研二だと聞き、私は言葉を失った。しかも、資料の中身すらろくに確認せずに提出したというのだから、呆れるしかない。
さらに白川さんが、『あの資料は自分で作った』と言い切ったと聞き、頭が真っ白になった。
この件は平井フーズの上層部まで波及したが、私へのお咎めはなかった。それどころか、会社から謝罪を受けることになった。
かつてお世話になった営業部長が頭を下げる姿に、胸が痛んだ。
結局、平井フーズとの契約は白紙になった。それが正しい判断だと、頭では分かっている。……分かっているけれど。
ただ、友人の恵子から、西園寺社長が代わりにホテル9(クー)とカフェBon Bonを紹介し、そちらと新たな契約が決まったと聞いた。
一般社員の私に、詳しいことは分からない。けれど、お世話になった会社が新たな取引先と繋がったと知り、ホッとした。
その後、弁護士の伊集院先生から連絡があった。慰謝料は二人の給料から差し引かれ、さらに接近禁止令も発令されたという。
ようやく、胸の息苦しさを感じなくなった。――まだ少し、怖さは残っていたけれど。