私のお姉ちゃん
初姫は目を潤ませ、ゆっくり首を横に振った。

「でしょ?」

「でも、朱雨くんとの初めてのクリスマス、一緒に過ごしたい……!」

「うん、わかってる。
俺も、ハツと過ごしたい!」


そして初姫は、朱雨に手を引かれ一階に降りリビングに向かった。

「………ハツ」

そして朱雨に背中を押され、夏姫に向き直った。
「お姉ちゃん、ごめんなさい…
本当は、大好きだよ」

「ううん。
私も、悪かった!
ハツの気持ちも考えずに、頭ごなしに……
ごめんね、ハツ」

「………うぅ…お姉ちゃん!」
パタパタと駆け寄り、夏姫に抱きついた。

「ハツ…本当に、ごめんね」
夏姫も抱き留めて、ゆっくり頭を撫でた。

そして初姫に改めて言う、夏姫。
「ハツの言いたいことはわかる。
外泊とかに関して、確かに私には言う資格がない。
でもね。
私には“ハツを守る義務があるの”
だから、わかってほしい。
ハツが成人するまでは、私はハツの保護者だから」

「うん、わかってるよ。
でも……」

「だから“外泊はダメ”
でも、門限は決めないから」

「え?」

「“何時になっても構わない”
その代わり、ちゃんと帰ってきて」

「お姉ちゃん…」

「約束!」

「わかった!」

「朱雨も。
ちゃんと無事にハツを家に送って」

「わかった」

大きく頷く初姫と朱雨に、夏姫も大きく頷いた。


「じゃあハツ。
またね!」

その後朱雨は、自宅マンションに戻っていた。
ゆっくり歩きながら、煙草を吸っている。

空を見上げて、煙草の煙を吐く。

「………てかナツ、邪魔だな…」
ポツリと呟いた。

暁也さんがいなかったらなぁ。
ナツなんて、どうにでもなるのに……

そして、初姫のあの言葉を思い出し、フフ…と笑いが出た。

“朱雨くんの家で内縁の妻をするの。
高校を退学して、朱雨くんの専業主婦する”

あの言葉は、興奮したなぁー

朱雨自身も、今すぐでも初姫を連れ去りたいとは思っている。
しかし、シスコン夏姫がどんな行動に出るかわからない。
なにせ、夏姫には暁也がいる。

だから朱雨は、夏姫を捨てようとしていた初姫を説得したのだ。


「待っててね、ハツ。
高校卒業したら、すぐにナツから奪うからね………!」



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