私のお姉ちゃん
自慢〜夏姫 side〜
私の妹、初姫。
通称、ハツ。

と言っても、初姫をハツと呼んでいる人は私と朱雨だけだけど。


私にとってハツは、私の全てだ――――――

私は、本気でハツがこの世で一番可愛い女性だと思っている。
昔からハツは色んな人達に好かれ、人気者だった。
私の自慢の妹。

「あ、お姉ちゃん!おはよう〜!」

朝起きてリビングに向かうと、ハツの可愛い笑顔といい匂いのする朝食に出迎えられる。

「おはよう!」
私にとって、これが一日の活力だ。

「おはよう、夏姫!」
そして、暁也さんの穏やかで優しい笑顔に癒される。

「おはよ」

「………」

そして、こいつ…
なんで、ハツは朱雨なんかと……

私は朱雨が嫌いなわけではない。
一応元彼だし、友達でもあったし、仲間だったし。
好きだったこともあったし、一緒にいて楽だった。

私が嫌なのは………

「朱雨くん、そのオムレツ美味し?」

「うん!凄く美味しいよ!」

「やった!
フフ…お友達にもご馳走しようと思ってるんだけど、喜んでくれるかな〜?」

「は?友達?
友達って誰?男!?」

「え!?
ち、違うよ!
朱雨くんも知ってる子だよ!
エリナちゃんとナズナちゃん」

「なんだ……女ね」

「フフ…フフフ…!」

ホッと肩を撫で下ろす朱雨を見て、クスクス笑い出すハツ。
「朱雨くんが、ヤキモチ妬いてる!嬉しい〜!」
そう言って、嬉しそうに笑っていた。

「当たり前でしょ!
ハツはすぐに、男を惑わすからね。
警戒しておかないと!」

「惑わす?」

「まぁ、確かに初姫はピュアな天使だからね(笑)
惑わされるよね?」

「暁也さんまで!
暁也さんには、お姉ちゃんがいるんですよ!?」

「フフ…そうだね!
でも、初姫は可愛いからね(笑)」

「あー!!今の発言、ダメーー!!」

「フフ…嘘だよ!
妹として、可愛いってことだよ!
僕の一番は、夏姫だよ!」

「そっか!良かった~」

三人が楽しそうに会話をしている。
つい数ヶ月前までは、朱雨のポジションは私だった。

ピュア天使ハツを守るのも、警戒して牽制するのも、ハツの可愛い笑顔を独り占めするのも……
全て、私だったのだ。

写真なんか見せなきゃ良かった。

そうすれば、朱雨がハツに出逢うことなかったし、こんなに好きになることもなかった。

あの日、写真を見せた瞬間………

朱雨の纏う雰囲気が変わった。
そしてあっという間に、ハツを私からさらっていったのだ。


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