私のお姉ちゃん
「え?夏姫?」
「どうしたの?」

一斉にみんなが私を見つめる。

そして、リツエが意味深に見つめている。

「あ…ごめん…」

「お姉ちゃん?どうしたの?
体調悪い?」
そして、ハツが心配そうに近づいてきた。

「ううん、大丈夫よ」

「待ってね。お水持ってくるから!
あ!お姉ちゃんは、温かいお茶が良いよね!
貰ってくる!」
ハツが、厨房の方に駆けていった。

「あ、ハツ!」

慌てて呼び止めようとすると、リツエが鋭く見つめ言ってきた。
「夏姫、もうやめな」

「………」

何も言えなくなっていると、ハツが戻ってきた。
「お姉ちゃーん!お茶だよ!」

テーブルにお茶を置き、私を支えようと腰を持つ。
「お姉ちゃん、座って?」

「……っ…」
私は思わず、ハツを抱き締めた。

「え……お姉ちゃん?
どうしたの?」

「………」

ハツ、何処にも行かないで……!

そんな思いで、ただ抱き締めていると……
グッと凄い勢いでハツが私から離れた。

「え……」

すると、朱雨が鋭く私を睨みつけていた。
そしてハツを守るように抱き締め、更にハツの耳を塞いだ。

「ハツは“俺の”
いいか?
俺からハツを奪うなら、俺はハツを連れて家を出る。
わかってると思うが、二度とハツには会わせないから」

そしてハツの耳から手を外し、ハツに微笑んだ。
「ハツ、向こうのケーキ食べよ?」

「え?え?
お姉ちゃんの体調…」

「ナツはね、親友のリツエがダイトに取られたから、淋しいんだって。
だから、元気がないんだ」

「あ、そっかぁ〜
そうだよね。
私も、エリナちゃんとナズナちゃんが結婚したら淋しくなるかも…」

「フフ…でしょ?(笑)」

「でも、お姉ちゃんには暁也さんがいるよ!」

「そうだね!」

「あ!
リツエさん!
結婚しても、お姉ちゃんのことよろしくお願いします!」
そしてリツエの所にパタパタ…と駆け寄り、頭を下げた。

「えぇ!
もちろんよ!」
リツエが微笑み、ハツの頭を撫でた。

ニコニコしているハツの柔らかな雰囲気。
そのおかげで、一気に店内が和やかになった。

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