私のお姉ちゃん
それからは、和やかに時間が過ぎていく。

「もうそろそろ、お開きにするか!」
ダイトが、みんなに切り出す。

すると平祐が「えー!!あ、三次会行こうよ〜」と言い出す。

は?
三次会?
でも…………

「ハツが眠そうだから、俺達は帰る」
私が言いたいことを、朱雨に言われてしまう。
そして続けて「あとは、みんなでよろしくしてくれ」と言い、ハツの手を引いて店を出ようとする。

「ちょっ…朱雨!
待って、私も……」

慌てて追いかけようとすると、平祐が「あ!そーだ!俺もお邪魔してい?」と言い出した。

「「は?」」

私と朱雨が思わず、声を揃えて目を見開く。

「暁也さん、お願いします!
こんな風にみんな集まるの、滅多にないし…!」

「うーん…そうだね。
確かに、家なら初姫もゆっくり出来るね!
僕は構わないよ?」

「…っしゃー!!
主がそう言ってんだから、朱雨と夏姫“良いよな?”」

平祐が目で訴えてきて、結局私達はみんなで家に向かったのだった。

平祐とリツエ&ダイト夫婦が来ることになり、私達を入れた七人で帰ることに。
まだ終電前なので、電車に乗って帰ることにした。

ホームに向かうと、ちょうど電車が来て乗り込んだ。

車内は私達と同じく飲んだ帰りらしき乗客が多く、なんとなく酒や煙草臭い。

「ハツ、そこ一つ空いてる。座りな」
私が声を掛けると、ハツはイヤイヤと首を横に振り、朱雨に抱きついた。

「朱雨くんと一緒がいい」
かなり眠いのだろう。
朱雨に甘えている。

ハツは眠くなると、甘えん坊になる。
ちなみに今までは“私に”甘えていた。

「夏姫、座りな」
暁也さんに言われ、私が座った。
そして私の前に暁也さんが立ち、吊り革を持つ。

私は朱雨とハツを見つめていた。
暁也さんの横で吊り革を持つ朱雨に抱きついている、ハツ。
朱雨がそんなハツの頭を優しく撫でていた。

良いなぁ…朱雨。
ハツに甘えてもらえて。

私は二人を見つめながら、ボーッとそんなことを考えていた。


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