私のお姉ちゃん
「「ハツ!!!待って!!」」

朱雨と夏姫を先頭に、暁也達も追いかけてくる。

「来ないで!!」
初姫はそう言いながら、ただ…あてもなく前に進む。

そして………

横断歩道にさしかかり、歩道の青信号が点滅していた。
初姫は、ギリギリ向こうに渡った。

そこで、信号が赤に変わった。

しかし夏姫は、お構いなしに歩道を駆け出した。

車のクラクションがけたたましくと鳴る中、朱雨達の「ナツ!!!?(夏姫!!!!?)」と言う叫び声が初姫の耳に届いた。

初姫が振り返ると、歩道を駆けてくる夏姫に車が迫っていた。

「…………っ…お姉ちゃ―――――」

初姫が咄嗟に、夏姫の方へ駆け出す。

車が夏姫にぶつかる寸前………

夏姫の身体は、ドン…ッ!!!!と突き飛ばされ、

キィーーーーーーーッ!!!!!!

急ブレーキの音が響き渡って………

気づくと………

避けようとした車の前に“初姫が”血塗れで横たわっていた。

「…………っ…ハツ!!!!?」

朱雨達が駆け寄る。
暁也が初姫の応急処置を施す。
平祐が救急車を呼び――――――

夏姫は、ただ…震えていた…………


夏姫と暁也の勤める病院に運ばれた、初姫。

暁也が「俺が必ず助ける!朱雨達は“夏姫を頼む”」と言って、手術室に入ろうとする。

「待って!!私も中に………」

「夏姫はダメだ。
冷静でいられないだろ!?
…………大丈夫だ!
絶対に助けるから。
初姫はまだ、死なせない!!
夏姫も“誤解を受けたままじゃ”嫌だろ?
ご両親の“本当の”気持ちも、初姫にちゃんと伝えないと!」

「暁也さん…」

暁也が大きく頷き、手術室に入っていく。

夏姫は、指を組んで祈る。

パパ!ママ!
お願い…!!

ハツをまだ連れて行かないで………!!!



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