私のお姉ちゃん
『ハツ!』

『あ!お姉ちゃん!!』

ハツが、ふわりと笑う。
頬は、赤く腫れていた。

『ごめんね、ハツ…
私のせいで……!ごめん!!』

『ううん!
お姉ちゃんいつも私を守ってくれるから、私もお姉ちゃんを守りたい……!』

『ハツ…』

どうしようもなかった私を、小さな身体で必死に守り、ハツはいつも私の味方でいてくれた。

私も、ハツを守りたいと思った。

だからそれからは、真面目に勉強に打ち込んだ。
朱雨との付き合いは続いていたけど、お互いに楽な関係として続けながら、ハツのことにも目を向けるようにした。

ハツは“パパとママは、いつも夏姫って言ってた”って言ってたけど、私の前ではいつも“初姫”って言っていた。

『夏姫、初姫のことお願いね!
初姫は純粋だから、騙されやすいの』と。

パパなんか『初姫に変な奴がつかないか、見張っててくれ』なんて言ってたし…(笑)

『俺が言っても、初姫は聞いてくれないんだ!
“心配性すぎる”って言って取り合ってくれない』って言って、いじけたりなんかしてた(笑)

ハツ。
パパとママは、血の繋がりなんかなくても、ハツを本当に大切にしていたんだよ?

『初姫は、俺達の天使みたいな子だからな…!』
『そうね!
純粋で、可憐な天使!』

いつもそう言ってた。
私も、ハツのことを“天使”だって思ってる。

ハツはいつも私を明るく照らして、見守ってくれてた。

私はただ……
“ハツの一番”でいたいだけなの!

朱雨のことを取ろうなんて思ってない。

ハツを取られたくなかったの。

だから朱雨に嫉妬して、ハツに当たるようなことをしてただけ。

私と朱雨が揃ってしまうのは、きっと…私が“朱雨と同じくらい”ハツを好きだから。


ごめんね、ハツ。

もう…朱雨との仲を邪魔しないから。

“ハツ離れ”するから。

私のこと、大嫌いで構わないから。

だから………

死なないで!!!

また“お姉ちゃーん!”って呼んでよ!!

また、ハツの可愛い笑顔見せてよ!!!



「ハツ…ハツ……!!!」


すると………

“手術室”のランプが消えて、暁也さんが出てきた。



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