白い結婚なんて絶対に認めません! ~政略で嫁いだ王女は甘い夜を過ごしたい~【全年齢版】
静かに目を閉じると、プリムローズの到着を待ってくれているであろうアルバートの姿が脳裏に浮かんだ。
プリムローズの誕生日に自らプレゼントを届けに来てくれたのが、最後に彼を見た日になる。半年前の出来事だから、その姿はあの頃とそう変わってはいないはずだ。
すらりとした痩躯と、彼の人柄を表したような穏やかな色合いのダークブロンドの髪。
プリムローズを優しく見つめる瞳は青みの強い紫色で、いつも柔らかな表情で微笑みかけてくれていた。
正直に言えば、その眼差しは婚約者ではなく年の近い妹に対して向けるものの方が近い気はする。
でも夫婦になるのだ。
本によれば普段は優しい殿方でも、いざそのような場となれば獰猛な獣と化すものらしい。
激しく何度も求められたり、朝まで寝かせてもらえなかったり、それはもう情熱的で激しい営みも普通に行われるという。翌日に足腰が立たなくなることも覚悟しておくように、と物騒な言葉まで書いてあった。
(アルバート様も、あんなに優しそうなお顔をしているのにそうなのかしら? 激しく……何をどう激しくするのかは、よく分からないけれど)
王宮育ちの箱入り姫なのだから、獰猛な獣というものを見たことがない。
見たことがあるのは王城にいつの間にか住み着いた猫や、見たいと我儘を言って近衛兵や侍女たちが家で飼っているのを連れて来てもらった犬くらいだ。
平たい円形の板を投げると犬はしっぽを振りながら喜び勇んで駆けて行く。
そうして板を口にくわえて戻って来ると「頭を撫でて褒めて」「おやつをちょうだい」と、プリムローズに向かってすごい勢いで身体をすり寄せることが多々あった。あまりの激しさに押されて倒れてしまいそうになることもあり、侍女たちが慌てて止めに入るくらいだ。
(でも大丈夫。こうして、本でちゃんと読んだもの)
プリムローズは本を閉じた。
アルバートが犬たちのように激しく身体をすり寄せて来る姿の想像もできないけれど、優しい殿方でもそうなると書いてあったのだから、そうなるのだろう。
今度は先程の本より小さな本を取り出して開いた。
殿方の心が少しでも理解できればと読んでいる、少しばかり官能的な表現の含まれた殿方に向けて書かれている小説だ。もちろん、この本にもイレーヌの〝検閲〟は入っている。
思い返せば確かに、物語に登場する男性主人公も獣のような振る舞いだと女性に言われていた。
子を成すという生命の一大仕事なのだ。それは人だろうと獣だろうと変わりないということなのだろう。
嫁入り前に復習も万全だ。いつでも夜を迎えられる自信もついた気がする。
プリムローズは一人、満足そうに何度も頷いた。
ところが、彼女の思惑と期待は他でもないアルバートによって盛大に裏切られることとなるのだった。
プリムローズの誕生日に自らプレゼントを届けに来てくれたのが、最後に彼を見た日になる。半年前の出来事だから、その姿はあの頃とそう変わってはいないはずだ。
すらりとした痩躯と、彼の人柄を表したような穏やかな色合いのダークブロンドの髪。
プリムローズを優しく見つめる瞳は青みの強い紫色で、いつも柔らかな表情で微笑みかけてくれていた。
正直に言えば、その眼差しは婚約者ではなく年の近い妹に対して向けるものの方が近い気はする。
でも夫婦になるのだ。
本によれば普段は優しい殿方でも、いざそのような場となれば獰猛な獣と化すものらしい。
激しく何度も求められたり、朝まで寝かせてもらえなかったり、それはもう情熱的で激しい営みも普通に行われるという。翌日に足腰が立たなくなることも覚悟しておくように、と物騒な言葉まで書いてあった。
(アルバート様も、あんなに優しそうなお顔をしているのにそうなのかしら? 激しく……何をどう激しくするのかは、よく分からないけれど)
王宮育ちの箱入り姫なのだから、獰猛な獣というものを見たことがない。
見たことがあるのは王城にいつの間にか住み着いた猫や、見たいと我儘を言って近衛兵や侍女たちが家で飼っているのを連れて来てもらった犬くらいだ。
平たい円形の板を投げると犬はしっぽを振りながら喜び勇んで駆けて行く。
そうして板を口にくわえて戻って来ると「頭を撫でて褒めて」「おやつをちょうだい」と、プリムローズに向かってすごい勢いで身体をすり寄せることが多々あった。あまりの激しさに押されて倒れてしまいそうになることもあり、侍女たちが慌てて止めに入るくらいだ。
(でも大丈夫。こうして、本でちゃんと読んだもの)
プリムローズは本を閉じた。
アルバートが犬たちのように激しく身体をすり寄せて来る姿の想像もできないけれど、優しい殿方でもそうなると書いてあったのだから、そうなるのだろう。
今度は先程の本より小さな本を取り出して開いた。
殿方の心が少しでも理解できればと読んでいる、少しばかり官能的な表現の含まれた殿方に向けて書かれている小説だ。もちろん、この本にもイレーヌの〝検閲〟は入っている。
思い返せば確かに、物語に登場する男性主人公も獣のような振る舞いだと女性に言われていた。
子を成すという生命の一大仕事なのだ。それは人だろうと獣だろうと変わりないということなのだろう。
嫁入り前に復習も万全だ。いつでも夜を迎えられる自信もついた気がする。
プリムローズは一人、満足そうに何度も頷いた。
ところが、彼女の思惑と期待は他でもないアルバートによって盛大に裏切られることとなるのだった。