叶わぬ彼との1年先の縁結び
商談が終わった後、またしても私たちは座敷で2人、向かい合っていた。
「来週、我が家に来て両親に会って欲しいんだ。もちろん両親は婚約することを知っている。顔合わせだと思って気楽にしてくれて構わないからね」
「……まったく気楽になんて構えられないんですけど……」
向こうのご両親との顔合わせ、それは避けては通れないイベントだった。
「それと、今後の暮らしのことだけど、今住んでるマンションに越して来てもらうかたちになるけどいいかな?」
「……へっ?」
思わず変な声が出てしまった。
(一緒に住むことなんて、全っっ然考えていなかった……!!)
「そっ、そんな無理です。先日初めてお会いした人と、いっ、一緒に暮らすなんて無理です!」
「えっ、俺はそのつもりだったけど。婚約が決まれば、機会があるごとに2人で出かけることになるし、一緒に暮らした方が、何かと便利なんだけどなぁ」
この人の婚約者になれば、公の場に招待される機会が多くあるだろうことは容易に想像できる。相応の振る舞いが求められることも。
時々公の場に一緒に出かけるだけで、あとは1年後に会って円満に解消だろうなと想像していたのに……
「2人で伺う必要のある機会には必ずご一緒させてもらいます。でもそれ以外は、むしろ私がいない方が何かと都合が良いのではないでしょうか?」
彼女のことを想う時に、私が居たらお邪魔だと思うんだけど。
「……」
三雲さんはしばし考えた後に口を開いた。
「では、一緒に暮らすことも依頼の内に入れてくれ。パーソナルなスペースはちゃんと確保する。君に手を出すようなことも絶対にしないと約束する」
「……わかりました。そこまでおっしゃるのなら……」
こうして、三雲さんが住むマンションで暮らすことが決まってしまった。
マンションはCLツーリストサービス本社の最寄駅から2駅という好立地な場所にあるという。
住宅街が近くにあるため意外とお店も多く、美味しいパン屋さんや、隠れ家的なレストランもあるらしい。
「来週、我が家に来て両親に会って欲しいんだ。もちろん両親は婚約することを知っている。顔合わせだと思って気楽にしてくれて構わないからね」
「……まったく気楽になんて構えられないんですけど……」
向こうのご両親との顔合わせ、それは避けては通れないイベントだった。
「それと、今後の暮らしのことだけど、今住んでるマンションに越して来てもらうかたちになるけどいいかな?」
「……へっ?」
思わず変な声が出てしまった。
(一緒に住むことなんて、全っっ然考えていなかった……!!)
「そっ、そんな無理です。先日初めてお会いした人と、いっ、一緒に暮らすなんて無理です!」
「えっ、俺はそのつもりだったけど。婚約が決まれば、機会があるごとに2人で出かけることになるし、一緒に暮らした方が、何かと便利なんだけどなぁ」
この人の婚約者になれば、公の場に招待される機会が多くあるだろうことは容易に想像できる。相応の振る舞いが求められることも。
時々公の場に一緒に出かけるだけで、あとは1年後に会って円満に解消だろうなと想像していたのに……
「2人で伺う必要のある機会には必ずご一緒させてもらいます。でもそれ以外は、むしろ私がいない方が何かと都合が良いのではないでしょうか?」
彼女のことを想う時に、私が居たらお邪魔だと思うんだけど。
「……」
三雲さんはしばし考えた後に口を開いた。
「では、一緒に暮らすことも依頼の内に入れてくれ。パーソナルなスペースはちゃんと確保する。君に手を出すようなことも絶対にしないと約束する」
「……わかりました。そこまでおっしゃるのなら……」
こうして、三雲さんが住むマンションで暮らすことが決まってしまった。
マンションはCLツーリストサービス本社の最寄駅から2駅という好立地な場所にあるという。
住宅街が近くにあるため意外とお店も多く、美味しいパン屋さんや、隠れ家的なレストランもあるらしい。