遠距離恋愛でも繋ぎ止めておきたい天然彼女が可愛いすぎる
「ファイルのは終わってたの、追加の数学を忘れていて、今日怜奈に聞いてプリントもカバンから探したりしてて…」
「怜奈って青木?」
「うん」
「いつも一緒にいるよな」
「うん、1年から同じクラスだし、同じバドミントン部だしね…仲良し」
「ふーん……」
しばらく無言になったが髪を拭くのをやめて詩織の前に慶太は座った。
「いつも青木の席に話にくるじゃん」
「あ、うん…もしかしてうるさい?」
出席番号順で今は怜奈の後ろが慶太なのだ。
「いや、楽しそうでさ、いつも可愛いなって見てた」
そう言うと詩織から視線を反らせた。
「え、怜奈が気になってるの?確かに小柄で可愛いよね」
「違ぇよ、江藤が可愛いって言ったんだよ」
詩織の思考回路が止まった。
「…………い、いやいや、どう見ても怜奈が可愛いでしょ、実際怜奈はモテるし」
慶太は詩織と自分の飲み物をゴミ箱に持っていった。
「ありがとう」
「うん」
慶太は詩織の隣に座り直し、肘をテーブルにつけて詩織の顔を覗き込んだ。
「っ、何?」
「いや、やっぱり可愛いなと思って…青木も可愛い部類だけど俺は江藤の笑った顔とかぷくってほっぺたを膨らます時が1番好きなんだけどさー」
「ほっぺ?」
自分でほっぺたを引っ張っている。
「ぷっ(笑)なぁ…つきあわねぇ?」
「へっ?どこに?もう消灯時間になるよ」
「ぷっ……ハハハッ」
「え、私…変な事言った?」
「天然なんだよな?」
「うっ、よく言われるけど自分はそう思ってなくて……忘れっぽいのは認めるけど」
「だから宿題も忘れてたんだ(笑)」
詩織はバツが悪そうに下を向いた。